相性と結婚

結婚後に関係がうまくいかなくなったら。夫婦カウンセリングと関係改善プログラムの効果の研究

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クッションの置かれたソファ
Photo: GardenKings / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(特定の人を診断するものではありません。出典は末尾)。

結婚したころのように話せない。話し合うと毎回同じところでこじれる。そんなとき「もう二人では戻れないのでは」と感じる人は少なくありません。研究では、夫婦カウンセリング(カップルセラピー)を受けた夫婦は関係の満足度が大きく改善し、何もせず待っていた夫婦はほとんど変わらなかったと報告されています。こじれたときは、専門家や公的な窓口の力を借りることが現実的な選択肢です。

3行でわかる

  1. 58件の研究・2,092組をまとめたメタ分析では、カップルセラピーを受けた夫婦は満足度が大きく改善し、順番待ちの夫婦はほとんど改善しませんでした。
  2. 話し方を学ぶ関係改善プログラム(117件の研究のメタ分析)にも、小〜中程度の効果がありました。オンラインの8時間のプログラムでも効果が確認されています。
  3. 日本では、家庭裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」や、公認心理師などのカウンセラー、DV・法律の公的窓口を使い分けられます。

01何が起きているのか(「もう戻れない」と感じるとき)

結婚後のこじれは、責める・黙り込むといった話し方のくり返しで深まりやすいものです。二人だけで抜け出せないのは珍しくなく、努力が足りないからではありません。

関係がこじれると、話し合いのたびに相手を責めるか、話題そのものを避けるかの2つに偏りがちです。どちらも続くと、「話しても無駄だ」という感覚が強まり、さらに話さなくなります。喧嘩のパターンについては関係が続くかを分ける「喧嘩の型」の研究や、黙り込む「ストーンウォーリング」の記事で詳しく整理しています。

この悪循環の中にいると、二人とも当事者なので、外から流れを見ることが難しくなります。そこで役に立つのが、第三者が間に入る支援です。ここでは、その効果が研究でどこまで確かめられているかを見ていきます。

02研究でわかっていること

カップルセラピーには関係の満足度を大きく改善する効果があり、順番待ちの夫婦はほとんど改善しませんでした。話し方を学ぶプログラムにも小〜中程度の効果がありました。

Roddyら(2020年、メタ分析)[1]

58件の研究(40の対象集団、2,092組)をまとめて分析した。カップルセラピーを受けた夫婦は、関係の満足度が治療の前後で大きく改善していた(効果量 1.12)。一方、順番待ちに割り当てられた夫婦は、有意な改善が見られなかった(効果量 0.12)。会話のしかた、心の親密さ、相手の行動にも改善が見られ、改善は追跡期間のあいだもおおむね保たれていた。

対象: 58件の研究・2,092組 / 限界: 対象は男女の夫婦に限られ、研究どうしの重なりを完全には調整できていない。

Hawkinsら(2008年、メタ分析)[2]

結婚・交際中のカップル向けの関係改善教育(話し方や問題解決を学ぶプログラム)について、117件の研究・500以上の効果量をまとめた。比較実験の研究では、関係の質に小さな効果(d = 0.30〜0.36)、コミュニケーションのスキルに小〜中程度の効果(d = 0.43〜0.45)があった。ある程度の時間をかけたプログラムのほうが、短いものより効果が大きかった。

対象: 117件の研究 / 限界: 対象者の人種・経済状況の幅が狭く、別れにくさや攻撃行動などへの効果はほとんど調べられていない。

Dossら(2016年)[3]

米国の男女のカップル300組を、カップルセラピーをもとにした8時間のオンラインプログラムを受ける群と、2か月待つ群に無作為に分けた。プログラム群は待機群に比べて、関係の満足度(d = 0.69)が改善し、抑うつや不安などの個人の不調も軽くなっていた。

対象: 米国の男女のカップル300組 / 限界: 英語の特定のプログラムの結果で、日本の夫婦や他のプログラムに同じ効果があるかはわからない。

支援の種類わかったこと研究の規模
カップルセラピー満足度が大きく改善。順番待ちではほぼ変化なし[1]58件・2,092組
関係改善教育関係の質に小さな効果、話し方に小〜中程度の効果[2]117件の研究
オンラインのプログラム8時間で満足度が改善し、個人の不調も軽くなった[3]300組

ただし、支援を受ければ必ず関係が続くわけではありません。深刻な不和を抱えた夫婦を5年間追った研究では、改善した夫婦がいる一方で、別居・離婚に至った夫婦もいました(価値観が合わないとわかったら、別れるべきかの記事)。支援は「元に戻す」ためだけでなく、二人が納得して次を決めるためにも使えます。

03見極めのサインと、小さな一歩

まず、今のこじれが「話し方のすれ違い」なのか「怖さや支配」なのかを分けてください。前者なら二人で使える支援を、後者なら一人で相談できる窓口を先に選びます。

1

最近の話し合いを3つ振り返る

それぞれ「責めた」「避けた」「歩み寄れた」のどれだったかを一言でメモする。責める・避けるが続いているなら、二人だけで直すより第三者に入ってもらう段階かもしれない。

所要 5分

2

「怖さ」があるかを確かめる

意見を言うと怒鳴られる、お金や人づきあいを制限される、身の危険を感じる。1つでも当てはまるなら、二人でのカウンセリングより先に、一人で相談できる窓口を選ぶ。

所要 3分

3

相手を責めない誘い方を考える

「あなたが変わって」ではなく「このままだと自分がつらいので、一緒に話を聞いてもらえる場所に行きたい」と、自分の気持ちを主語にして伝える。相手が来なくても、一人で相談を始めてよい。

所要 10分

04相談先の探し方

日本では、家庭裁判所の円満調停、公認心理師などのカウンセラー、DVや法律の公的窓口があります。目的と状況に合わせて選んでください。

窓口向いている状況確認できたこと
家庭裁判所「夫婦関係調整調停(円満)」関係を立て直す話し合いの場がほしい。離婚するか迷っている双方から事情を聞き、原因と改善のための努力について解決案や助言を示す。申立ては夫または妻で、収入印紙1,200円分と郵便切手が必要[4]
カウンセリング機関話し方のすれ違いを二人で見直したい料金や方針は機関ごとに違う。公認心理師・臨床心理士などの資格と、夫婦の相談を扱っているかを事前に確認する
DV相談ナビ #8008相手に怖さを感じる。暴力や強い制限がある近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる。センターでは相談、カウンセリング、緊急時の安全確保などを行っている[5]
法テラス・サポートダイヤル別居や離婚になったときのお金・住まい・手続きが心配0570-078374。平日9時〜21時、土曜9時〜17時(祝日・年末年始を除く)。内容に応じて相談先を案内する[6]
  • カウンセラー選びでは、資格と経験、料金、オンライン対応の有無を最初の問い合わせで聞いておく。
  • 相手が受診を嫌がるときは、まず一人でカウンセリングや公的窓口に相談してもよい。
  • 暴力や強い支配がある場合は、二人での話し合いより自分の安全を優先する(モラハラかもしれないと気づいたら、最初にすること)。
ここで紹介した研究は主に海外の夫婦を対象にしたもので、特定の機関やプログラムの効果を保証するものではありません。心身の不調が強いときは、医療機関にも相談してください。

05よくある質問

夫婦カウンセリングと相談先について、よくある疑問に確認できた研究の範囲で答えます。

夫婦カウンセリングは本当に効果がありますか?

58件の研究・2,092組をまとめたメタ分析では、カップルセラピーを受けた夫婦は関係の満足度が大きく改善し、順番待ちの夫婦はほとんど改善しませんでした。ただし主に海外の男女の夫婦を対象にした結果で、必ず関係が続くことを保証するものではありません。

相手がカウンセリングに行きたがらないときはどうすればいいですか?

一人で相談を始めてもかまいません。誘うときは「あなたが変わって」ではなく、「自分がつらいので一緒に話を聞いてもらいたい」と自分の気持ちを主語にすると伝わりやすくなります。

家庭裁判所の円満調停とは何ですか?

夫婦関係調整調停(円満)は、円満な関係を回復するための話し合いの場として家庭裁判所が設けている手続きです。双方から事情を聞き、改善のための解決案や助言が示されます。離婚するか迷っている場合にも利用でき、申立てには収入印紙1,200円分と郵便切手が必要です。

相手に暴力や強い支配があっても、夫婦カウンセリングを受けるべきですか?

怖さを感じるときは、二人での話し合いより自分の安全を優先してください。DV相談ナビ(#8008)に電話すると近くの配偶者暴力相談支援センターにつながり、一人で相談できます。

関係を長く支える要素は、「わかってくれる人」と長続きするのはなぜかや結婚満足度は本当にU字カーブを描くのかもあわせて読むと整理しやすくなります。

出典

  1. Roddy, M. K., Walsh, L. M., Rothman, K., Hatch, S. G., & Doss, B. D. (2020). Meta-analysis of couple therapy: Effects across outcomes, designs, timeframes, and other moderators. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 88, 583-596. https://doi.org/10.1037/ccp0000514
  2. Hawkins, A. J., Blanchard, V. L., Baldwin, S. A., & Fawcett, E. B. (2008). Does marriage and relationship education work? A meta-analytic study. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 76, 723-734. https://doi.org/10.1037/a0012584
  3. Doss, B. D., Cicila, L. N., Georgia, E. J., Roddy, M. K., Nowlan, K. M., Benson, L. A., & Christensen, A. (2016). A randomized controlled trial of the web-based OurRelationship program: Effects on relationship and individual functioning. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 84, 285-296. https://doi.org/10.1037/ccp0000063
  4. 裁判所「夫婦関係調整調停(円満)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_02/index.html
  5. 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター・DV相談ナビ」 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html
  6. 法務省「法務省だより あかれんが」vol.91(法テラス・サポートダイヤル) https://www.moj.go.jp/KANBOU/KOHOSHI/no91/7.html