「わかってくれる人」と長続きするのはなぜか。パートナーの「応答性」の研究

一緒にいて安心できる人と、なぜか疲れてしまう人。その違いは、話を「聞いてくれるかどうか」にあるのかもしれません。心理学では、相手が自分を理解し、大切にし、認めてくれていると感じられることを「応答性」と呼び、長続きする関係の中心にあると考えています。
3行でわかる
- 夫婦や同棲カップルを10年追った研究では、相手に「わかってもらえている」と感じていた人ほど、10年後のストレスホルモン(コルチゾール)の1日の変化が健康的だった。
- 67組の同棲カップルの毎日の記録では、相手からの支えは、こちらの気持ちに合った応え方だったときにだけ、悲しさや不安を減らし、関係の質を高めていた。
- 良い出来事を話したときに、相手が熱心に喜んでくれる関係ほど、親密さや満足感が高かった。
01何が起きているのか
応答性とは、相手が自分のことを理解し、気にかけ、認めてくれていると感じられることです。長続きする関係を支える土台の1つと考えられています。
研究者は、応答性を「理解してくれる」「大切にしてくれる」「認めてくれる」の3つの感覚としてとらえています。
大切なのは、相手が実際に何をしたかより、こちらが「わかってもらえた」と感じられるかどうかです。同じ励ましの言葉でも、気持ちに合っていなければ、かえって負担になることがあります。
応答性は、つらいときの支えだけでなく、うれしいことを話したときの反応にも表れます。
02研究でわかっていること
相手にわかってもらえていると感じることは、心の状態や関係の満足感だけでなく、長い目で見た体のストレス反応にも関わっていました。
Slatcherら(2015)[1]
アメリカの夫婦や同棲カップルを10年間追った。相手に「理解され、大切にされ、認められている」と感じていた人ほど、10年後、朝起きたときのコルチゾールが高く、1日の中での下がり方が健康的だった。この関係は、年齢や抑うつ、性格などの影響を除いても残っていた。
対象: アメリカの夫婦・同棲カップルの大規模サンプル / 限界: 観察研究で、応答性がストレス反応を変えたと断定はできない。
Maisel & Gable(2009)[2]
同棲している67組のカップルに、毎日、相手に与えた支えと受けた支えを記録してもらった。目に見える支えも、気づかれない支えも、こちらの気持ちに合った応え方だったときにだけ、悲しさや不安が少なく、関係の質が高かった。
対象: 同棲している67組のカップル / 限界: 日々の記録にもとづく相関の研究。
Gableら(2004)[3]
4つの研究で、良い出来事を人に話すことの効果を調べた。良い出来事を話すと、その日の前向きな気持ちや幸福感が高まった。相手が熱心に、前向きに反応してくれると、その効果はさらに大きくなった。相手がいつも熱心に反応してくれる関係ほど、親密さや毎日の満足感が高かった。
対象: 4つの研究の参加者 / 限界: 主に自己報告にもとづく。
03見分けるポイントと、今日からできる一歩
相手が「わかってくれる人」かどうかは、こちらが話したときの反応に表れます。自分も、相手の話に応える練習ができます。
うれしい話をしたときの反応を見る
良いことを話したとき、相手が一緒に喜んで質問してくれるか、聞き流したり水を差したりするかを見ます。熱心に反応してくれる関係ほど、満足感が高い傾向がありました。
所要 会話中
つらい話のあと「わかってもらえたか」を振り返る
アドバイスの量より、話したあとに「わかってもらえた」と感じたかを振り返ります。いつも否定されたり、話をすり替えられたりするなら、注意が必要です。
所要 1分
自分も「理解・気づかい・認める」で応える
相手の話を聞いたら、気持ちを言葉で返し(「それは大変だったね」)、相手の努力を認めます。アドバイスは求められてからにします。
所要 数分
04続けるためのコツと相談先
応答性は、どちらか一方だけが頑張るものではありません。話を聞いてもらえない状態が続き、責められたり否定されたりするなら、関係を見直すことも大切です。
- 相手の話を聞くときは、スマホを置いて顔を見るだけでも、伝わり方が変わります。
- 「わかってほしい」ことは、言葉にして伝えないと相手にはわかりません。
- うれしい出来事こそ、相手に話してみましょう。一緒に喜べる時間が関係を強くします。
- 話すたびに否定されたり、怒鳴られたりする関係は、応答性の問題を超えています。
05よくある質問
パートナーの応答性について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
話を聞いてくれる人と付き合うと、長続きしますか?
長続きしやすい関係の特徴と考えられています。研究では、相手にわかってもらえていると感じる人ほど、関係の満足感が高く、10年後の体のストレス反応も健康的でした。
アドバイスしてくれるのに、なぜかイライラするのはなぜ?
支えがこちらの気持ちに合っていないからかもしれません。67組の研究では、支えは気持ちに合った応え方のときにだけ、悲しさや不安を減らしていました。
良いことを話したとき、相手の反応は大事?
大事です。良い出来事を話したときに相手が熱心に喜んでくれる関係ほど、親密さや毎日の満足感が高い傾向がありました。
応答性とは何ですか?
相手が自分を理解し、大切にし、認めてくれていると感じられることです。関係を支える土台の1つと考えられています。
出典
- Slatcher, R. B., Selcuk, E., & Ong, A. D. (2015). Perceived Partner Responsiveness Predicts Diurnal Cortisol Profiles 10 Years Later. Psychological Science, 26(7), 972-982. https://doi.org/10.1177/0956797615575022
- Maisel, N. C., & Gable, S. L. (2009). The paradox of received social support: The importance of responsiveness. Psychological Science, 20(8), 928-932. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2009.02388.x
- Gable, S. L., Reis, H. T., Impett, E. A., & Asher, E. R. (2004). What do you do when things go right? The intrapersonal and interpersonal benefits of sharing positive events. Journal of Personality and Social Psychology, 87(2), 228-245. https://doi.org/10.1037/0022-3514.87.2.228
