別れと復縁

復縁がかなわなかったとき、どうあきらめればいいのか。「目標から離れる力」の研究でわかったこと

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落ち葉の積もった小道
Photo: Trevor Littlewood / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(特定の人を診断するものではありません。出典は末尾)。

復縁を目指して動いたけれど、相手の答えは変わらなかった。そのとき必要なのは「忘れる」ことより、「復縁」という目標から手を離し、別の目標に力を向け直すことです。研究では、この2つの力が心の健康と結びついていました。

3行でわかる

  1. かなわない目標から手を離す力と、新しい目標に向かう力は、どちらも心の健康と結びついている。31サンプルのメタ分析では、新しい目標に向かう力のほうが結びつきが強かった。
  2. 別れた人を1か月追った研究では、「ひとりになるのが怖い」気持ちが強い日ほど、元恋人を恋しく思い、よりを戻そうとする行動が増えていた。
  3. 相手が断っているのに復縁を求め続けることは、警察庁がストーカー行為の例として挙げている。あきらめることは、相手と自分の両方を守る選択でもある。

01何が起きているのか(あきらめられない正体)

復縁を目指していた人は、失恋の痛みに加えて「達成できなかった目標」を抱えています。目標が残っている限り、心は相手の方を向き続けます。

ふつうの失恋なら、別れた時点で関係は終わります。復縁を目指していた人は違います。連絡の文面を考え、タイミングを計り、相手の反応を読み続けてきました。「よりを戻す」という目標に、時間と気持ちを注いできたのです。

心理学では、かなわない目標への向き合い方を「目標の調整(goal adjustment)」として研究しています。カナダのコンコルディア大学のWroschらは、これを2つの力に分けました。1つは、かなわない目標への努力と思い入れを手放す力(目標からの離脱)。もう1つは、別の目標を見つけて力を注ぎ直す力(目標への再関与)です[1][2]。

この研究の多くは恋愛を直接扱ったものではありません。ただ、「もう達成できない目標をどう手放すか」という構造は、復縁がかなわなかった場面とよく重なります。そこにこの記事は、別れのあとの「よりを戻そうとする行動」を直接調べた研究を合わせて読み解きます。

02研究でわかっていること

手を離す力は落ち込みの軽さと、新しい目標に向かう力は前向きな気持ちと結びついていました。ひとりへの不安が強い日ほど、よりを戻そうとする行動が増えていました。

Wroschら(2003年)[1]

かなわない目標を手放せる人、そして別の目標に力を注ぎ直せる人ほど、主観的な幸福感が高かった。2つの力は組み合わさって働く場合もあった。

対象: 大学生115人、若い成人と高齢者120人、子どもががんの親を含む親45人の3研究 / 限界: 相関の研究で、恋愛の目標を直接調べたものではない。

Wrosch・Scheier・Miller(2013年、レビュー)[2]

手を離す力は、かなわない目標を抱えたときの心の苦しさや体の不調を和らげうる。新しい目標に向かう力は、前向きな気分や生きがいと結びつくが、苦しさそのものを減らす予測にはなりにくかった。

対象: これまでの研究を整理した総説 / 限界: 2つの力は性格的な傾向として測られたもので、意識して身につけられるかは別に検討が必要。

Barlow・Wrosch・McGrath(2020年、メタ分析)[3]

31サンプルをまとめると、生活の質との結びつきは「新しい目標に向かう力」(r=0.19)が「手を離す力」(r=0.08)より強かった。うつのリスクが高い人のサンプルでは、手を離す力と落ち込みの関係が逆向きになっていた。

対象: 31サンプル・421の効果量 / 限界: どちらも小さめの相関。「あきらめれば楽になる」と言い切れるほどの大きさではない。

Spielmannら(2016年)[4]

「ひとりになるのが怖い」気持ちが強い人ほど、元恋人を恋しく思っていた。毎日の記録では、この不安が強い日ほど、恋しさとよりを戻そうとする行動が増えていた。時間の流れを追うと、不安が先で、行動が後だった。

対象: 209人の調査と、別れたばかりの117人を1か月追った日記式の研究 / 限界: 本人の自己報告にもとづく研究。

Spielmann・MacDonald・Wilson(2009年)[5]

不安の強い愛着スタイル(見捨てられ不安が強い傾向)の人は、元恋人を恋しく思いやすい。ただし新しい相手がいる人ではこの結びつきが見られなかった。「新しい相手は見つけやすい」と思うよう誘導した実験でも、元恋人への執着が弱まった。

対象: 相関研究1つと実験2つ / 限界: 効果が確かめられたのは不安の強い愛着スタイルの人。すぐ次の恋人を作ることを勧める結果ではない。

数字と対象を一覧にすると、次のとおりです。

研究対象わかったこと
Wroschら 2003[1]115人・120人・45人手を離す力と、別の目標に向かう力は、幸福感の高さと結びつく
Barlowら 2020[3]31サンプル生活の質との相関は、新しい目標 r=0.19、手を離す r=0.08
Spielmannら 2016[4]209人+117人(1か月)ひとりへの不安が強い日ほど、よりを戻そうとする行動が増える
Spielmannら 2009[5]相関1+実験2新しい可能性に目が向くと、元恋人への執着が弱まる(不安の強い人)
Wrosch・Miller 2009[6]思春期の女子・約19か月手を離す力が伸びた人は、その後の落ち込みが軽くなった

Wrosch・Millerの研究では、最初に落ち込みが強かった人ほど、その後に手を離す力が伸びていました。落ち込みは、かなわない目標から離れる過程の一部になりうると著者らは考えています[6]。ただし上のメタ分析では、うつのリスクが高い人で逆の結果も出ています[3]。落ち込みが長く続くときは、自分だけで抱えないことが大切です。

03あきらめどきのサインと、切り替える小さな一歩

相手の答えが言葉や行動で示されたら、それがあきらめどきです。ひとりへの不安が強い日に気づき、復縁に代わる目標を1つ決めることから始めます。

次のどれかに当てはまるなら、相手の答えはもう出ています。復縁の見込みを数字で知りたい人は、復縁の成功率を調べた記事も参考になります。

  • はっきり「よりは戻さない」と言われた
  • 連絡を断られた、ブロックされた
  • 相手が新しい生活や関係に進んでいる
  • 会うたびに同じ話し合いをくり返している(別れと復縁をくり返す関係の研究も参照)

ここからは、上の研究の考え方を日常に当てはめた工夫です。研究で効果が試された手順そのものではありません。

1

「復縁」という目標を言葉にして閉じる

「〇〇さんとよりを戻す」と紙に書き、その下に「この目標は終わり」と書き足す。目標を目標として扱うと、手放す対象がはっきりします。

所要 5分

2

「ひとりが怖い」日を記録する

夜に、ひとりへの不安を0〜10でメモする。高い日は連絡したくなりやすい日だと知っておき、その日は送らないと先に決めておく。

所要 1日1分

3

復縁で満たしたかったものを、別の目標に置き換える

「安心したい」「話を聞いてほしい」など、復縁で得たかったものを書き出す。そのうち1つを、友人との予定や習い事など、相手なしで進められる目標に変える。

所要 15分

4

元恋人の情報に触れる回数を減らす

SNSの確認は恋しさを強めやすい。理由と減らし方は元恋人のSNSチェックの研究にまとめています。

所要 5分

04距離の取り方と相談先

相手が断っているなら、連絡は止めるのが基本です。拒否されたのに復縁を求め続ける行為は、警察庁がストーカー行為の例に挙げています。

警察庁は、ストーカー行為の例として「拒否しているにもかかわらず、面会や交際、復縁を求めてくる」「何度も電話をかけてくる」を挙げています[7]。好きな気持ちが本物でも、相手の答えを越えて動き続ければ、相手を追い詰めることになります。

連絡したい気持ちを抑えられないとき、または逆に元恋人からしつこく復縁を迫られて怖いときは、警察相談専用電話 #9110 に相談できます(緊急時は110番)。眠れない・食べられない・気持ちが沈み続けるときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」[8]に電話やSNSの相談窓口がまとまっています。

落ち込みが長引く場合の目安は、失恋の落ち込みと相談のサインの記事で整理しています。

05よくある質問

復縁をあきらめるときによくある疑問に、確認できた研究の範囲で答えます。

復縁をあきらめるのは逃げなの?

逃げではありません。かなわない目標から手を離す力は、幸福感の高さや心の苦しさの軽さと結びついていると報告されています。ただし結びつきは小さめで、新しい目標に向かう力のほうが生活の質との関係は強いとされています。手放すことと、次の目標を持つことをセットで考えるのがよいでしょう。

新しい恋人を作れば元恋人を忘れられる?

見捨てられ不安の強い人では、新しい相手がいる、または新しい相手は見つかると思えるだけで、元恋人への執着が弱まったという研究があります。ただし対象は不安の強い愛着スタイルの人に限られ、すぐ交際を始めることを勧める結果ではありません。恋愛以外の目標でも、新しい方向に力を向けることが大切です。

どうしても連絡したくなる日はどうすればいい?

別れた人を1か月追った研究では、ひとりになるのが怖い気持ちが強い日ほど、よりを戻そうとする行動が増えていました。不安が強い日を記録して「今日は送らない日」と決めておくと、勢いで送るのを防ぎやすくなります。相手が断っているのに連絡を続けることは、ストーカー行為の例として警察庁が挙げています。

気持ちが切り替わるまでどれくらいかかる?

この記事で紹介した研究は、切り替わるまでの期間を示していません。立ち直りにかかる期間を調べた研究は、別れの傷が消えるまでの期間の記事にまとめています。

出典

  1. Wrosch, C., Scheier, M. F., Miller, G. E., Schulz, R., & Carver, C. S. (2003). Adaptive self-regulation of unattainable goals: Goal disengagement, goal reengagement, and subjective well-being. Personality and Social Psychology Bulletin, 29(12), 1494-1508. https://doi.org/10.1177/0146167203256921
  2. Wrosch, C., Scheier, M. F., & Miller, G. E. (2013). Goal adjustment capacities, subjective well-being, and physical health. Social and Personality Psychology Compass, 7(12), 847-860. https://doi.org/10.1111/spc3.12074
  3. Barlow, M. A., Wrosch, C., & McGrath, J. J. (2020). Goal adjustment capacities and quality of life: A meta-analytic review. Journal of Personality, 88(2), 307-323. https://doi.org/10.1111/jopy.12492
  4. Spielmann, S. S., MacDonald, G., Joel, S., & Impett, E. A. (2016). Longing for ex-partners out of fear of being single. Journal of Personality, 84(6), 799-808. https://doi.org/10.1111/jopy.12222
  5. Spielmann, S. S., MacDonald, G., & Wilson, A. E. (2009). On the rebound: Focusing on someone new helps anxiously attached individuals let go of ex-partners. Personality and Social Psychology Bulletin, 35(10), 1382-1394. https://doi.org/10.1177/0146167209341580
  6. Wrosch, C., & Miller, G. E. (2009). Depressive symptoms can be useful: Self-regulatory and emotional benefits of dysphoric mood in adolescence. Journal of Personality and Social Psychology, 96(6), 1181-1190. https://doi.org/10.1037/a0015172
  7. 警察庁「ストーカー被害を未然に防ぐために」. https://www.npa.go.jp/cafe-mizen/stoker.html
  8. 厚生労働省「まもろうよ こころ」. https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/