別れの傷が消えるまで、どれくらいかかるのか。立ち直りの期間を研究で調べた
別れてから何週間、何か月経っても、ふとした瞬間に苦しくなる。「いつまでこの気持ちが続くのか」「自分はおかしいのではないか」と感じてしまうこともあるはずです。実は、別れからの立ち直りにかかる時間や、それを分ける要因については、複数の研究で調べられています。
3行でわかる
- 交際関係が終わった若年成人156人を追跡した研究では、別れの直後に強まった気分の落ち込みは、多くの場合3か月ほどで別れる前の水準に戻ると報告されている。
- ただし回復の速さには個人差があり、関係を終わらせた側かどうか、新しい交際相手がいるか、周囲の支えに満足しているかなどが関係すると、2700人超のデータを使った研究でわかっている。
- 別れをどう受け止めたか(ネガティブに受け止めたかどうか)も、悲しみの長引きやすさに関わっていると報告されている。
01なぜ、こんなに長く辛く感じるのか(悩みの正体)
別れの直後に強い落ち込みを感じるのは自然な反応で、多くの場合は時間とともに和らぐが、その「時間」の感じ方や実際の長さには個人差があると研究では報告されている。
別れの直後は、まだ相手への気持ちが強く残っているぶん、日常のふとした瞬間に思い出してしまいやすくなります。渦中にいるときは「この状態が永遠に続くのではないか」と感じやすいものですが、研究では、こうした一時的な気分の落ち込みは時間とともに和らいでいく人が多いことが確認されています。ただし、その「多くの人がどのくらいで和らぐか」という平均的な目安と、自分自身の実際のペースは必ずしも一致しません。関係の長さや別れ方、そのときの受け止め方によって、和らぐまでの時間には差が出ることがわかっています。
02研究でわかっていること
気分の落ち込みは多くの場合数か月で和らぐとされる一方、回復の早さを分ける要因(受け入れの度合い、新しい交際相手の有無、周囲の支えなど)も複数の研究で報告されている。
Sbarra(2006年)[1]
交際関係を解消した若年成人58人を対象に、4週間にわたり日々の感情データを集めて分析した研究。関係の解消を受け入れている度合いが高い人ほど、悲しみが和らぐまでの期間が短かった。反対に、相手への愛着や執着がまだ強い人ほど、悲しみが長引きやすかった。
対象: 交際関係を解消した若年成人58人、4週間の日次調査 / 限界: サンプルが少なく、若年成人の交際関係に限定した結果。
Acolin・Cadigan・Fleming・Rhew・Lee(2023年)[2]
2年間の追跡調査中に一度だけ交際関係が終わった若年成人156人を分析した研究。別れの前後で気分の落ち込み(PHQ-2という簡易指標で測定)が一時的に強まったが、多くの場合3か月以内に別れる前の水準まで戻っていた。落ち込みが目立ったのは、別れをネガティブに受け止めた人に限られていた。
対象: 若年成人156人、2年間の追跡調査のうち単回の別れを経験した人 / 限界: PHQ-2という簡易的な指標による測定で、臨床的な診断ではない。
Tran・Castiglioni・Walper・Lux(2024年)[3]
ドイツの大規模な家族パネル調査のデータから、18〜48歳の2709人が経験した3734件の別れを分析した研究。関係を終わらせた側だった人、別れた後に新しい交際相手がいる人、周囲の人間関係に満足している人ほど、別れに対する怒りや悲しみなどの感情的な反応がやわらぎやすいことがわかった。
対象: 18〜48歳の2709人が経験した3734件の別れ(ドイツの家族パネル調査) / 限界: 自己報告による調査で、感情の強さの記憶には個人差がある。
03立ち直りを助ける、小さな一歩
「自分だけおかしい」と思い込まないための目安を持ちつつ、支えてくれる人との関わりを保つことが、回復のペースを助けると研究では報告されている。
「3か月」という目安を知っておく
研究で報告されている平均的な回復の目安を知っておくだけでも、今の辛さを「異常なこと」と捉えすぎずに済みやすくなる。
所要 数分
支えてくれる人との時間を意識的に増やす
周囲の人間関係への満足度が高い人ほど感情的な反応がやわらぎやすいという報告があるため、一人で抱え込まず話せる相手との時間を作る。
所要 継続的
別れをどう受け止めているか、言葉にしてみる
別れをネガティブにしか捉えられていないと感じたら、その出来事の中にあった自分にとっての意味やこれからにつながる面がないか、紙に書き出してみる。
所要 15分
04続けるためのコツ
回復のペースは人それぞれで、平均的な目安どおりに進まなくても問題ではないと理解しておくことが、焦らず続けるための土台になる。
- 「もう3か月経ったのに辛い」と自分を責めるのではなく、目安はあくまで平均であり、関係の長さや別れ方によって差が出ると理解しておく。
- 新しい交際相手を作ることを、辛さから逃げるための手段として急がない。研究でも、それが必ずしも良い結果につながるとは限らないことが指摘されている。
- 気分の落ち込みが長期間続き、日常生活(仕事や食事、睡眠など)に大きな影響が出ている場合は、一人で抱え込まず、医療機関やカウンセリングなど専門家のサポートを利用することも検討する。
05よくある質問
3か月経っても辛いままなのは、何かおかしいのでしょうか?
研究で示されている「3か月」はあくまで平均的な目安で、個人差が大きいとされています。関係の長さや別れ方、支えてくれる人の有無によって回復のペースは変わるため、期間だけで自分の状態を判断する必要はありません。
新しい相手を作れば早く忘れられますか?
研究では新しい交際相手がいることが感情的な回復と関連していると報告されていますが、これは「忘れるための手段」として推奨するものではありません。回復を焦って次の交際に進むことが、良い結果につながるとは限らないという指摘もあります。
出典
- Sbarra, D. A. (2006). Predicting the Onset of Emotional Recovery Following Nonmarital Relationship Dissolution: Survival Analyses of Sadness and Anger. Personality and Social Psychology Bulletin, 32(3), 298-312. https://doi.org/10.1177/0146167205280913
- Acolin, J., Cadigan, J. M., Fleming, C. B., Rhew, I. C., & Lee, C. M. (2023). Trajectory of Depressive Symptoms in the Context of Romantic Relationship Breakup: Characterizing the "Natural Course" of Response and Recovery in Young Adults. Emerging Adulthood, 11(5). https://doi.org/10.1177/21676968231184922
- Tran, K., Castiglioni, L., Walper, S., & Lux, U. (2024). Resolving Relationship Dissolution: What Predicts Emotional Adjustment After Breakup? Family Process. https://doi.org/10.1111/famp.12914