付き合う前に、相性の何を確かめればいい?条件より「一緒にいるときの感じ方」を見る研究

年収、趣味、性格、価値観。付き合う前は、相手のプロフィールや条件を見て「合いそうか」を考えがちです。けれど研究では、会う前の情報から特定の相手との相性を予測するのは難しいとわかっています。確かめるなら、条件の一覧より、一緒にいるときに自分がどう感じるかを、何回か会って見ていくほうが確かです。
3行でわかる
- 100項目以上の性格・好みのアンケートを使っても、会う前に「この2人が惹かれ合うか」は予測できませんでした。
- 事前に答えた理想の条件も、実際に会ったときに誰に惹かれるかを予測しませんでした。
- 付き合ってからの満足度をよく予測したのは、相手の性格より「相手が関係を大切にしていると感じるか」など、自分自身の関係への感じ方でした。
01何が起きているのか(相性を「条件」で測ってしまう)
相性を条件や性格の一致で確かめようとするのは自然なことです。ただ研究では、そうした会う前の情報は、特定の相手との相性をほとんど教えてくれませんでした。
マッチングアプリのプロフィールや紹介の段階では、手に入る情報は条件と自己紹介だけです。そのため「条件が合えば相性もいいはず」と考えやすくなります。
しかし、人が自分の好みをどこまで正確にわかっているかには限界があります。研究者は、恋愛の好みについても、人は何が自分の判断を動かしているかを自覚できていない可能性があると論じています。プロフィール自体が少し盛られやすいことも、別の研究で報告されています(マッチングアプリのプロフィールは、どれくらい盛られているのか)。
02研究でわかっていること
会う前の性格・好み・理想の条件では、特定の相手への好意は予測できませんでした。付き合ってからの満足度は、自分が関係をどう感じているかで最もよく予測されました。
Joel・Eastwick・Finkel(2017年)[1]
交際相手のいない人を対象にした2つのスピードデーティング研究。参加者は事前に、配偶者選びに関係するとされてきた性格や好みの質問に100項目以上答え、異性の参加者全員と4分ずつ話した。機械学習で分析すると、「誰に対しても惹かれやすいか」「誰からも好かれやすいか」はある程度予測できたが、「特定の相手にどれだけ惹かれるか」は、どの組み合わせの情報を使っても予測できなかった。
対象: 交際相手のいない参加者(2つの研究) / 限界: 4分間の初対面での好意を見たもので、その後の交際がうまくいくかまでは調べていない。
Eastwick・Finkel(2008年)[2]
スピードデーティングとその後の追跡調査。理想の相手に求める条件を聞くと、外見をより重視するのは男性、経済力をより重視するのは女性という従来どおりの男女差が出た。しかし、実際に会った相手への好意と、相手の外見・経済力との関係には男女差がなかった。さらに、イベント前に答えた理想の条件は、その場で実際に何に惹かれたかを予測しなかった。
対象: スピードデーティングの参加者 / 限界: 初期の好意を見た研究で、長期の関係については別に調べる必要がある。
Eastwickら(2014年)[3]
理想の条件がどこまで実際の評価を予測するかを調べたレビューとメタ分析(97件のデータ)。実際の相手の評価では、外見の魅力が中程度から強めの関連(r≒.40)、経済力が小さな関連(r≒.10)を示し、どちらも男女でほぼ同じだった(男女差は r の差で .03)。著者らは、想像上の相手と実際に会う相手とでは、条件の効き方が違うと論じている。
対象: 惹かれ合いと交際の研究97件 / 限界: 調べた条件は主に外見と経済力で、価値観など他の条件は含まれていない。
Joelら(2020年)[4]
29の研究室が集めた43の追跡データ(11,196組)を機械学習で分析した。本人が答えた関係への感じ方は、相手が答えた同じ項目より2〜4倍多く満足度を説明した。本人の関係への感じ方を考えに入れると、性格などの個人差や相手側の回答は、それ以上の予測力を持たなかった。著者らは、性格や相手の経験は、本人が関係をどう感じるかを通して満足度に影響していると解釈している。
対象: 交際中・既婚のカップルの追跡データ43件 / 限界: すべて自己申告のアンケートで、「予測」は原因を意味しない。その後に満足度が上がるか下がるかは、ほとんど予測できなかった。
| 確かめたいこと | 研究でわかったこと | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 会う前の性格・好みの情報 | 特定の相手への好意は予測できなかった[1] | 会って確かめる |
| 自分の理想の条件 | 実際に何に惹かれるかを予測しなかった[2] | 条件は入口の目安にとどめる |
| 外見・経済力 | 外見は r≒.40、経済力は r≒.10。男女差はほぼない[3] | 自分が何に惹かれているかを自覚する |
| 関係への感じ方 | 本人の感じ方が、相手の回答の2〜4倍説明した[4] | 会うたびに自分の感じ方を記録する |
03確かめ方:会って見る5つのこと
条件の一覧で決めず、何回か会いながら「大切にされている感じ」「感謝のやり取り」「意見の違いの扱い方」を自分の感覚で確かめます。以下は研究から考えた工夫です。
付き合ってからの満足度をよく予測した関係の要素は、相手が関係を大切にしていると感じられること、感謝、性的な満足度、相手が満足していると感じられること、衝突の少なさでした[4]。このうち付き合う前から確かめやすいものを、行動に置きかえます。
条件を「譲れないもの」と「会って確かめるもの」に分ける
求める条件を書き出し、生活の前提に関わるものだけを「譲れない」に残す。性格や雰囲気など残りは、プロフィールで判断せず会ってから見る欄に移す。
所要 10分
会ったあとに、3つの問いを1行ずつメモする
「大切に扱われている感じがしたか」「ありがとうを自然に言い合えたか」「一緒にいて気を張りすぎなかったか」。相手の評価ではなく、自分がどう感じたかを書く。
所要 3分
小さな意見の違いを、あえて口にしてみる
店選びや予定の決め方など、軽いテーマで「私はこっちがいいな」と伝える。相手が聞いてくれるか、気まずくならずに決められるかを見る。
所要 デート中の数分
1回で決めず、3回分のメモを並べる
初対面の好意は会う前に予測できず、その後の変化も読みにくいことがわかっています。1回の印象で決めず、何回か分のメモが同じ方向を向いているかを見る。
所要 5分
自分の調子も一緒に書いておく
落ち込みや気分の沈み、生活全体の満足度など本人の状態も、満足度の予測要素でした。気分が沈んでいる日は、相手より自分の状態が感じ方を左右しているかもしれないと、一言添えておく。
所要 1分
「相手が自分のことをわかってくれる」と感じられるかは、別の研究でも関係の満足度と結びついています(「わかってくれる人」と長続きするのはなぜか)。価値観の一致そのものについては価値観が同じ相手ほどうまくいくのか、結婚前に話し合う内容は結婚前に確認したいことにまとめています。
04距離の取り方と相談先
「大切にされている感じ」は、出会ってすぐの猛烈な好意とは別物です。違和感や怖さがあるときは、相性を確かめる前に距離を取ってかまいません。
- 短期間に連絡や贈り物、将来の約束が集中するときは、好意の強さより一貫性を見る(出会ってすぐの猛烈な好意は要注意か)。
- 意見の違いを伝えたときに、怒る、黙り込む、あなたの考えを否定し続けるなら、相性の問題として扱わず、会う頻度を落として様子を見る。
- 交友関係や連絡先を制限される、怖くて意見が言えないと感じるときは、一人で抱えずに相談する。
05よくある質問
付き合う前の相性の確かめ方について、確認できた研究の範囲で答えます。
付き合う前に相性はわかりますか?
会う前の情報だけでは、ほとんどわかりません。100項目以上の性格や好みのアンケートを使っても、特定の相手への好意は予測できなかったと報告されています。相性は、実際に会って確かめるものと考えたほうが現実的です。
理想の条件に合う人を選べば、うまくいきますか?
条件の一致だけでは決まりません。スピードデーティング(短い会話を次々にする出会いの場)の研究では、事前に答えた理想の条件が、その場で実際に誰に惹かれるかを予測しませんでした。条件は入口の目安にとどめ、会ったときの感じ方を合わせて見るのがおすすめです。
付き合い始めは、何を見れば長続きするかわかりますか?
43の追跡データの分析では、相手が関係を大切にしていると感じられること、感謝、相手が満足していると感じられること、衝突の少なさなどが満足度をよく予測しました。ただし、その後に満足度が上がるか下がるかは、ほとんど予測できませんでした。
相性診断アプリやマッチングの相性スコアは当てになりますか?
今回の出典は特定のサービスを調べたものではありません。ただ、会う前のアンケートで特定の相手への好意を予測するのは難しいという結果が出ています。スコアは会うかどうかの参考にとどめ、判断は会ってからにするのが安全です。
出典
- Joel, S., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2017). Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction. Psychological Science, 28(10), 1478-1489. https://doi.org/10.1177/0956797617714580
- Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2008). Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner? Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 245-264. https://doi.org/10.1037/0022-3514.94.2.245
- Eastwick, P. W., Luchies, L. B., Finkel, E. J., & Hunt, L. L. (2014). The predictive validity of ideal partner preferences: A review and meta-analysis. Psychological Bulletin, 140(3), 623-665. https://doi.org/10.1037/a0032432
- Joel, S., Eastwick, P. W., Allison, C. J., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. PNAS, 117(32), 19061-19071. https://doi.org/10.1073/pnas.1917036117
- 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター」 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html


