質問が多い・プライベートを聞いてくるのは脈ありサインか。質問と好意の研究

気になる人が、休日の過ごし方や家族のこと、過去の恋愛まで次々と聞いてくる。恋愛メディアでよく「質問が多いのは脈ありサイン」と紹介されるしぐさです。結論から言うと、質問が多い人ほど相手から好かれやすいことは研究で確かめられていますが、質問の多さはその人の会話の癖による部分が大きく、それだけで相手の好意を判断することはできません。
3行でわかる
- 398人の実験では、たくさん質問された側ほど相手を好きになった。研究で確かなのは「質問する人が好かれる」という方向。
- スピードデート110人の分析では、ある日の質問の多さは同じ人のほかのデートでの質問の多さと強く関連していた(相関0.53)。質問の多さは主にその人の会話の癖。
- 好意と結びつきが確かめられているのは、質問よりも「自分のことを話してくれるか」。人は好きな相手に多く自己開示することがメタ分析で示されている。
01何が起きているのか(悩みの正体)
質問が多い相手に「自分に興味があるのかも」と感じるのは自然です。ただその感覚は、相手の好意ではなく「質問されると相手を好きになる」自分の側の反応である可能性があります。
恋愛メディアでは「質問が多い」「プライベートなことを聞いてくる」は脈ありサインの定番として紹介されます。興味のない相手には質問しない、という理屈です。たしかに、相手のことを知りたいときに質問が増えるのは不思議ではありません。
ただ、研究で詳しく調べられてきたのは逆の向きです。つまり「質問した人が相手を好きか」ではなく、「質問された人が、質問した人を好きになるか」です。人は話す内容の30〜40%を自分のことに使い、自分について話すこと自体に心地よさを感じるとされます。質問されて話を聞いてもらえると、こちらが相手に好感を持つのはこのためかもしれません。その好感を「相手が自分を好きだから」と読み替えてしまうところに、読み違いが起きやすくなります。
02研究でわかっていること
質問、特に相手の話を受けた深掘りの質問は、質問した人の好感度を上げます。一方、質問の多さはその人の会話の癖による部分が大きく、質問者の好意を直接示す研究は見当たりません。
Huang・Yeomans・Brooks・Minson・Gino(2017年)[1]
初対面の2人に15分間チャットで話してもらい、片方に「9問以上質問する」か「4問以下にする」かを無作為に指示した。たくさん質問された側は、相手への好感度が高かった(平均5.79対5.31)。一方、質問する役を指示された本人が相手をどれだけ好きかは、質問の多い条件と少ない条件でほとんど変わらなかった(5.76対5.67)。また、質問を多くした人は「自分がより好かれている」とは予想していなかった。
対象: 実験参加者398人(199組、匿名のチャット) / 限界: 質問の数は研究者が指示したもので、自然な会話で「質問の多さ」と「質問する人の好意」の関係を調べたものではない。
Huang ほか(2017年)同論文のスピードデート研究[1]
110人が1回4分のスピードデートを15〜19回ずつ行った会話を分析した。1回のデートで1人が平均9.80問質問し、そのうち相手の話を受けた「深掘りの質問(フォローアップ質問)」は平均4.51問だった。深掘りの質問が多い人ほど、相手から「また会いたい」と選ばれやすかった。また、ある日のデートでの質問の多さは、同じ人がほかのデートでした質問の多さと強く関連していた(相関0.53)。研究者は、質問の多さの違いは「どの相手か」より「どの人か」でほぼ決まると述べている。
対象: 3回のスピードデートに参加した男女110人(1,961件のデート後の評価) / 限界: 相関の分析で、因果関係は示せない。測っているのは「質問した人が好かれたか」で、「質問した人が相手を好きだったか」ではない。
Collins・Miller(1994年)[2]
自己開示(自分のことを話すこと)と好意の関係をまとめたメタ分析。(a) 深い自己開示をする人は好かれやすい、(b) 人は最初から好きな相手に多く自己開示する、(c) 自己開示した相手を好きになる、という3つの関係がいずれも確認された。
対象: 自己開示と好意に関する先行研究のメタ分析 / 限界: 調べているのは「自分のことを話す」行動で、「質問する」行動そのものではない。
Tamir・Mitchell(2012年)[3]
人は話す内容の30〜40%を、自分の経験や考えを伝えることに使っている。5つの研究で、人が自分のことを話す機会に価値を感じること、自分について話すときに脳の報酬に関わる領域(側坐核など)の活動が高まることが示された。
対象: 成人を対象とした5つの研究(脳画像と行動実験) / 限界: 恋愛場面ではなく、自分について話すこと一般の研究。
ここから言えるのは2つです。1つ目は、深掘りの質問は「ちゃんと聞いてくれている」と相手に感じさせ、それが好感につながること。研究者はこれを「応答性(話を聞き、理解し、気にかけてくれる感じ)」で説明しています。応答性についてはパートナーの「応答性」の研究でも詳しく扱っています。2つ目は、質問の多さは主にその人の会話のスタイルであり、相手によってあまり変わらないことです。実験でも、質問を多くするよう指示された人の好意は、少なくするよう指示された人と変わりませんでした。「質問の多さ」と「質問する人の好意」の関係を直接調べた研究は、今回の調査では見当たりませんでした。
03見抜くサインと、身を守る小さな一歩
質問の数より、質問の中身と相手が自分のことも話すかを見ます。ほかの人にも同じように質問する人なら、それは好意より会話の癖と考えるのが自然です。
- 読めること: 自分の話を受けた深掘りの質問が多いなら、少なくともその場では話をよく聞いてくれている
- 読めないこと: 質問の多さだけで、相手が自分に恋愛感情を持っているかどうか
- 手がかりになりやすいこと: 相手も自分のことを話してくれるか。人は好きな相手に多く自己開示することがメタ分析で示されている
- 注意点: 答えたくない質問に引いてくれない、予定や交友関係を細かく問いただす、といった場合は好意とは別の問題として見る
ほかの人への接し方と比べる
その人が誰に対しても質問の多い人かどうかを見る。研究では、質問の多さは相手が変わってもあまり変わらなかった。
所要 2分
質問の中身を見る
話題を次々に変える質問より、こちらの話を受けて「それでどうなったの?」と掘り下げる質問かどうかに注目する。
所要 3分
相手が自分のことを話すかを見る
聞くだけでなく、相手も自分の考えや経験を話してくれるか。お互いに話す関係かどうかの方が手がかりになる。
所要 3分
答えたくないことは答えなくていい
プライベートな質問に答えるかどうかは自分で決めてよい。断ったときの相手の反応も、相手を知る材料になる。
所要 1分
脈ありサインの全体像についてはスピードデートの研究が示した「好意の読み違い」も参考になります。
04距離の取り方と相談先
質問が多いことは、好意の証拠でも危険のサインでもありません。ただ、断っても詮索が続き、行動を管理されると感じるなら、早めに距離を取って相談できます。
- 質問の多さは「話を聞いてくれる人」という目安にとどめ、好意の確証として扱わない
- 好意を知りたいときは、しぐさや質問の数から推測を重ねるより、会う約束や言葉で確かめる
- 居場所や交友関係をしつこく問いただされる場合は、嫉妬・束縛と支配の研究も参考にする
- つきまといや脅しなど身の危険を感じるときは、警察相談専用電話(#9110)に相談できる。緊急時は110番
05よくある質問
質問が多い相手や、プライベートを聞いてくる相手について、よくある疑問にお答えします。
質問が多い人は、自分に気があるということですか?
それだけでは判断できません。スピードデートの研究では、ある日の相手への質問の多さは、その人がほかの相手にした質問の多さとよく一致していました。質問の多さはその人の会話の癖による部分が大きく、ほかの人への接し方と比べて見る必要があります。
プライベートなことを聞いてくるのは、好意があるからですか?
好意の可能性はありますが、研究で直接確かめられてはいません。深い質問は関係を近づけたいときにも、単に会話を続けたいときにも出ます。相手も自分のことを話してくれるか、答えたくないときに引いてくれるかを合わせて見ると判断しやすくなります。
質問をたくさんすると好かれるなら、自分もそうすべきですか?
相手の話を受けた「深掘りの質問」は好印象につながりやすいと報告されています。ただし研究者自身、質問ばかりで自分の話をしないと逆効果になる可能性を指摘しています。聞くことと自分のことを話すことを交互にするのがよいでしょう。
しぐさ・ボディランゲージ索引で「質問が多い・プライベートを聞く」を見る
ほかのしぐさも50種類から調べられます。4択クイズもあります。
出典
- Huang, K., Yeomans, M., Brooks, A. W., Minson, J., & Gino, F. (2017). It doesn't hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430-452. https://doi.org/10.1037/pspi0000097
- Collins, N. L., & Miller, L. C. (1994). Self-disclosure and liking: A meta-analytic review. Psychological Bulletin, 116(3), 457-475. https://doi.org/10.1037/0033-2909.116.3.457
- Tamir, D. I., & Mitchell, J. P. (2012). Disclosing information about the self is intrinsically rewarding. Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(21), 8038-8043. https://doi.org/10.1073/pnas.1202129109


