脈ありサインは当てになる?スピードデートの研究が示した「好意の読み違い」

「今の笑顔は脈あり?」と、相手の一挙一動が気になってしまう。それは自然なことです。ただ、研究では、私たちが相手の好意を読むのはかなり苦手だということも報告されています。単独のサインで決めつけず、根拠のある見方に整理しましょう。
3行でわかる
- スピードデートの研究では、人は相手が「好意で話しているか」をとても読み違えていました。
- 読み違いには、自分の意図を相手に重ねて見てしまうことが関わっていると報告されています。
- 迷うときは、サインを増やして推測するより、言葉で確かめるほうが確実です。
01好意の読み違いは、誰にでも起きる
相手の好意は、本人の意図と、受け取る側の印象がずれやすいものです。読み違いは、あなたの観察力の問題ではありません。
「好意があるように見えた」という印象は、相手の意図とは別物です。研究者は、この「意図」と「受け取り方」のずれを、実際の会話の録音で調べました。
つまり、脈ありサインの一覧を暗記するより、「人は読み違えるものだ」と知っておくほうが、失敗を減らせます。
02研究でわかっていること
スピードデートの会話を分析した研究では、人間の読み取りより、機械の判定のほうが当たっていました。好意の読み違いには、一定の傾向があることも報告されています。
Ranganath ら(2009)[1]
約4分の初対面のデートの会話を分析し、話し手が「好意を示している」と自己申告した発話を、音声の高さ・話し方・使う言葉から最大71.5%の精度で判別できました。これは、会話の相手(人間)の判断を上回りました。研究者は、人は相手の好意を読むのがとても苦手で、自分の意図を相手に重ねて見てしまうことが多い、と結論しています。
対象: 米国の大学の大学院生。2005年に行われた3回のスピードデートの、約1,100件の4分間のデートのうち991件を分析 / 限界: 学生に限られた、1つの大学の会話で、好意の有無は本人の申告です。
Ranganath ら(2009)の分析結果[1]
自己申告で好意を示していた男性は、質問が多く、笑いが多く、話す速度が速い傾向がありました。同じく好意を示していた女性は、声の高さの幅が広く、笑いが多く、相づちや称賛の言葉が少なく、1回の発言が長い傾向がありました。
対象: 同上 / 限界: 傾向であって、個人に当てはまるとは限りません。また、男女の二分法で調べられた研究です。
Obrecht と Agrillo(2026)[2]
男性が、女性の友好的な態度を性的な関心と読み違える傾向が、研究で報告されています。ただし、この分野の研究の参加者は、平均22.9歳の学生が中心で、40歳以上での再現は確認されていません。
対象: この分野の先行研究のレビュー / 限界: 学生に偏っており、文化差も十分に調べられていません。
Hugill ら(2010)[3]
身振りや体の動きが、相手を評価する手がかりになりうるという研究のレビューです。ただし、このレビューは、今後の研究を促すことを目的としており、「この動きは好意の証拠」と言える段階の研究ではありません。
対象: 体の動きと配偶者選択に関する研究のレビュー / 限界: 進化心理学の枠組みでの整理で、日常の恋愛への直接の当てはめは、慎重に見る必要があります。
03今日からできる小さな一歩
サインを増やして推測するより、「読み違えるかもしれない」を前提に、確かめる行動を増やすほうが安全です。以下は、研究の結果から考えた工夫です。
1つのサインで決めない
笑顔、視線、返信の速さなど、1つの様子だけで「脈あり」「脈なし」と決めないでください。研究で好意と関わっていたのは、質問や笑い、話し方など、複数の要素の組み合わせでした。
所要 0分(見方を変えるだけ)
自分の期待を、いったん脇に置く
研究では、人は自分の意図を相手に重ねて見てしまうと報告されています。「そうであってほしい」気持ちが強いときほど、印象と事実を分けて、メモに書き出してみましょう。
所要 3分
迷ったら、軽く言葉で確かめる
「今度、ごはんに行きませんか」など、断られても傷の浅い形で、気持ちを確かめます。相手の返事が曖昧なときは、無理に押さず、相手のペースを尊重してください。
所要 1分
04続けるためのコツ
読み違えたときも、自分を責めないことが大切です。誰にでも起きることが、研究で示されています。
- うまく読めなかった場面は、「何を根拠に、そう思ったか」だけ、あとで振り返る。
- 相手の「友好的な態度」と「好意」は別物だと、意識しておく。
- 相手が明確に断ったり、困った様子を見せたりしたら、それを尊重して、距離を取る。
05この研究から考えた、こんなアプリ
相手の反応を「気持ち」と「事実」に分けて記録し、思い込みに気づけるアプリです。
APP IDEA
読み違いノート(仮)
思い込みで空回りする恋 → 事実を見て、落ち着いて動ける恋
- その日の相手の言動を「事実」と「自分の解釈」に分けて記録し、両者のずれを可視化する。
- 「断られても傷の浅い」誘い方の例文を、状況に合わせて提案する。
- 1週間の記録から、「思い込みが多かった場面」を振り返り、AIに相談できる。
こんなアプリがあったら使いたいですか? 感想やほしい機能は SEADICEのトップページ から教えてください。
06よくある質問
よくある疑問に、研究の範囲で答えます。
視線が合うのは、脈ありのサインですか?
今回の出典では、視線の回数と好意の関係は検証されていません。単独の視線で好意を判断するのは、勧められません。
男性と女性で、好意の出し方は違いますか?
スピードデートの研究では、好意を示すときの話し方に、男女で違う傾向が報告されています。ただし、個人差が大きく、傾向は当てはまらない人も多くいます。
好意のサインを、確実に見抜く方法はありますか?
研究では、人は相手の好意を読み違えやすいと報告されています。確実に知る方法は、言葉で確かめることです。
出典
- Ranganath R, Jurafsky D, McFarland D. (2009). It's Not You, it's Me: Detecting Flirting and its Misperception in Speed-Dates. Proceedings of EMNLP 2009. https://aclanthology.org/D09-1035/
- Obrecht A, Agrillo C. (2026). Overperceiving desire, underestimating age: a review of a narrow research lens. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1837065
- Hugill N, Fink B, Neave N. (2010). The role of human body movements in mate selection. Evolutionary Psychology. https://doi.org/10.1177/147470491000800107