しぐさ・ボディランゲージ

目を手で覆う・ぎゅっと閉じるのは「見たくない」のサインか。元FBI捜査官の説を研究で検証

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Quin Stevenson 2015-04-15
Photo: Quin Stevenson qstevenson / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開されている研究論文をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の人を診断・判定するものではありません。出典は末尾にあります。

頼みごとをした瞬間、相手が指で目元を覆ったり、目をぎゅっとつぶったりした。「本当は嫌なのかな」と気になったことはありませんか。元FBI捜査官のジョー・ナバロ氏は、こうした動きを本心が出る「アイブロッキング(目のブロッキング)」と説明しています。結論から言うと、嫌悪を感じると目が細まり、見える範囲が狭まることは実験で確かめられています。ただし目を閉じる・覆う動きは、考えごとや思い出す作業でも増えるため、それだけで「見たくない」「嫌だ」と決めることはできません。説と研究を分けて検証します。

3行でわかる

  1. ナバロ氏は2008年のNPRのインタビューで、頼みごとをされて目を指で覆いこする動きを「本心を表すブロッキング」と説明した。捜査官としての経験にもとづく説で、実験で確かめたものではない。
  2. 表情の実験では、嫌悪の表情をつくると視野が主観的に狭まり、恐怖の表情では広がった。目を細める動きが「入ってくる情報を減らす」方向に働くことは研究と合う。
  3. 一方、目を閉じる・そらす動きは難しい質問や思い出す作業で増え、目撃者の実験では、目を閉じると気が散る条件より多くを正しく思い出せた。目の動きだけで不快や嘘は判断できない。

01何が起きているのか(悩みの正体)

目を手で覆う、ぎゅっと閉じる、細めるといった動きは、まとめて「アイブロッキング」と呼ばれます。不快の表れとする説が広く知られていますが、目を閉じる理由はほかにもあります。

アイブロッキングとは、目の前のものを「見えなくする」方向の動きの総称です。手のひらや指で目元を覆う、まぶたを強く閉じる、目を細める、といった動きが含まれます。話の途中でこの動きが出ると、「自分の話を拒まれたのでは」と不安になる人は少なくありません。

この見方を広めた一人が、元FBI捜査官のジョー・ナバロ氏です。2008年にアメリカの公共ラジオNPRに出演した際、ナバロ氏は「週末の引っ越しを手伝って」と頼まれた人が、すぐに指で目を覆ってこする例を挙げました。手伝うことにはなっても、その動きは本当の気持ちを表すブロッキングだ、という説明です。番組では、生まれつき目の見えない子どもも、嫌なことを聞くと目を覆うという話も紹介されました。

ナバロ氏の説明は、長年の取り調べや観察の経験から来たもので、尊重すべき実務の知恵です。ただし経験にもとづく観察と、条件をそろえて比べた研究は別物です。目の見えない子どもの話についても、今回調べた範囲では、それを確かめた研究の一次資料は確認できませんでした。そこで、研究でどこまで言えるのかを見ていきます。

02研究でわかっていること

嫌悪の表情で目が細まると見える範囲が狭まる、という点は説と合います。一方で、目を閉じる・そらす動きは頭の負荷を下げるためにも起き、思い出す力を高めます。

Susskindら(2008年)[2]

表情の形を統計的に分析すると、恐怖と嫌悪の表情は正反対の特徴を持っていた。参加者が恐怖の表情をつくると視野が主観的に広がり、目の動きが速くなり、息を吸うときの鼻の通り道の容積と空気の速さも増えた。嫌悪の表情では逆のパターンになった。

対象: 表情を意図的につくってもらう実験 / 限界: 目を手で覆うしぐさや、会話の中で自然に出る動きを調べたものではない。

Perfectら(2008年)[5]

5つの実験で、思い出すときに目を閉じるよう指示された人は、正しく思い出せた内容が増え、誤った内容は増えなかった。目で見た細部も、耳で聞いた細部も思い出しやすくなった。

対象: 動画や対面のやりとりを見た後の記憶テスト / 限界: 目を閉じるよう指示した場合の効果で、自然に目を閉じる理由を調べたものではない。

Vredeveldt・Hitch・Baddeley(2011年)[4]

目撃者80人に、画面を見る・目を閉じる・映像で気を散らす・音で気を散らす、の条件で事件を思い出してもらった。気が散る条件より、目を閉じた条件と何もない画面の条件の方が、思い出せた内容が明らかに多かった。

対象: 事件の映像を見た参加者80人 / 限界: 実験室での記憶課題。

Doherty-Sneddon・Phelps(2005年)[6]

8歳の子ども36人に、対面またはビデオ越しに質問した。対面の方が目をそらす回数は多かったが、どちらの条件でも質問の難しさが目をそらす回数に強く影響した。目をそらす主な働きは、頭の負荷を調整することだと結論づけている。

対象: 8歳児36人 / 限界: 目をそらす動きの研究で、目を手で覆う動きは調べていない。

研究のレビュー(Vredeveldt・Perfect, 2014年)[3]も、目を閉じたり目をそらしたりすると周りの情報から離れて頭の負荷が下がり、思い出す成績が上がるという知見をまとめています。つまり、目を閉じる動きには「見たくない」だけでなく、「集中したい」「思い出したい」という理由もあるのです。

また、しぐさから嘘を見抜けるかについては、206件の研究・のべ24,483人の判定をまとめたメタ分析があります。それによると、特別な訓練なしに嘘と本当を見分けた正解率は平均54%で、偶然の50%をわずかに上回る程度でした[7]。目を覆う動きひとつから本音を言い当てるのは難しいと考えるのが自然です。

03見抜くサインと、身を守る小さな一歩

目を覆う・閉じる動きから読めるのは「今、何かに反応している」までです。不快なのか、考えているのか、疲れているのかは、言葉や状況と合わせないとわかりません。

  • 読めること: 話題が変わった直後に目を覆う・閉じる動きが出たら、その話題に何らかの反応をした可能性がある
  • 読めないこと: それが拒否なのか、困惑なのか、答えを考えているのか。嘘をついているかどうか
  • 注意点: まぶしさ、目の疲れや乾き、眠気、思い出そうとしているときにも目は閉じる
1

直前に何を言ったかを振り返る

頼みごと・難しい質問・思い出す必要のある質問のどれだったかで、目を閉じた理由の見当が変わる。

所要 1分

2

体の理由がないか確かめる

照明がまぶしい、長時間画面を見ていた、寝不足など、目そのものの事情がないかを先に考える。

所要 1分

3

考える時間を渡す

目を閉じて考えている人に答えを急がせると、かえって思い出しにくくなる。少し待つ。

所要 1分

4

気持ちは言葉で確かめる

「無理なら断ってくれて大丈夫」と一言添え、本当の気持ちを言いやすい場をつくる。しぐさから決めつけない。

所要 2分

04距離の取り方と相談先

目を覆うしぐさ一つで相手を疑ったり、自分の癖を責めたりする必要はありません。人間関係の不安が強く続くときは、専門の窓口に相談できます。

  • 相手の目のしぐさは「何かに反応したかもしれない」の目安にとどめ、拒否や嘘の証拠として扱わない
  • 自分が考えるときに目を閉じてしまうのは、頭の負荷を下げる自然な反応。誤解されそうなら「少し考えますね」と言葉で補う
  • 人と話すことへの不安や、気持ちの落ち込みが長く続いてつらいときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や心療内科・カウンセリングに相談する

05よくある質問

目を覆う・閉じるしぐさについて、よくある疑問にお答えします。

相手が目を手で覆ったら、私の話が嫌だということですか?

そうとは限りません。元FBI捜査官のナバロ氏は本心を表す「ブロッキング」と説明していますが、経験にもとづく説です。研究では、目を閉じる・そらす動きは難しい質問を考えるときや思い出すときにも増えます。気持ちは言葉で確かめる方が確かです。

目をぎゅっと閉じたり細めたりするのは、嫌悪のサインですか?

嫌悪の表情では目が細まり、視野が狭まることが実験で確かめられています。ただしまぶしさ、疲れ、考えごとでも目は細まり閉じるため、その動きだけで嫌悪と決めることはできません。前後の言葉や状況と合わせて見ます。

話しながら目を閉じてしまう癖は、失礼にあたりますか?

研究では、目を閉じると周りの情報から離れて頭の負荷が下がり、思い出す成績が上がることがわかっています。考えるための自然な動きです。気になる場合は「少し考えさせてください」と一言添えると誤解されにくくなります。

しぐさ・ボディランゲージ索引で「目を手で覆う・ぎゅっと閉じる」を見る
ほかのしぐさも50種類から調べられます。4択クイズもあります。

出典

  1. NPR (2008, June 28). Decoding Body Language [Interview with Joe Navarro]. Science Out of the Box. https://www.npr.org/transcripts/92000147
  2. Susskind, J. M., Lee, D. H., Cusi, A., Feiman, R., Grabski, W., & Anderson, A. K. (2008). Expressing fear enhances sensory acquisition. Nature Neuroscience, 11, 843-850. https://doi.org/10.1038/nn.2138
  3. Vredeveldt, A., & Perfect, T. J. (2014). Reduction of environmental distraction to facilitate cognitive performance. Frontiers in Psychology, 5, 860. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2014.00860
  4. Vredeveldt, A., Hitch, G. J., & Baddeley, A. D. (2011). Eyeclosure helps memory by reducing cognitive load and enhancing visualisation. Memory & Cognition, 39, 1253-1263. https://doi.org/10.3758/s13421-011-0098-8
  5. Perfect, T. J., Wagstaff, G. F., Moore, D., Andrews, B., Cleveland, V., Newcombe, S., Brisbane, K. A., & Brown, L. (2008). How can we help witnesses to remember more? It's an (eyes) open and shut case. Law and Human Behavior, 32, 314-324. https://doi.org/10.1007/s10979-007-9109-5
  6. Doherty-Sneddon, G., & Phelps, F. G. (2005). Gaze aversion: A response to cognitive or social difficulty? Memory & Cognition, 33, 727-733. https://doi.org/10.3758/bf03195338
  7. Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2006). Accuracy of deception judgments. Personality and Social Psychology Review, 10, 214-234. https://doi.org/10.1207/s15327957pspr1003_2