突然の音信不通「ゴースティング」はなぜこんなにつらいのか。研究でわかったこと

昨日まで普通にやりとりしていた相手から、急に返事が来なくなる。理由もわからないまま待ち続けるのは、はっきり振られるよりつらく感じることがあります。それはあなたが弱いからではありません。研究では、説明のない別れ方が、人の心理的な欲求を強く揺さぶることがわかっています。
3行でわかる
- 176人を対象にした研究では、ゴースティングを思い出した人は、はっきり拒絶された人より「仲間外れにされた」感覚が強く、「所属」と「コントロール」の欲求がより脅かされていた。
- ゴースティングは、拒絶よりも「予想外」で「不公平」な出来事と受け止められていた。
- 626人の調査では、ゴースティングだけの経験と生活満足度の低さとの関連は見られず、気まぐれに連絡を続ける「ブレッドクラミング」の方が孤独感や無力感と結びついていた。
01何が起きているのか
ゴースティングとは、説明なしに一方的に連絡を断つ別れ方です。理由がわからず、自分で結末をつけられないことが、つらさの中心にあります。
ゴースティング(ghosting)は、メッセージを無視する、電話に出ない、SNSをブロックするなどして、相手との連絡を一方的に断つことを指します。研究では「関係を続けていた相手との連絡を、一時的または永久に、一方的にすべて断つこと」と定義されています。
珍しいことではありません。アメリカの成人554人を対象にした調査では、25.3%がゴースティングされた経験があり、21.7%が自分からしたことがあると答えています。
つらいのは、終わり方を自分で決められないからです。研究者はゴースティングを、無視や仲間外れ(心理学では「オストラシズム」と呼びます)の一種としてとらえ、心にどんな影響があるかを調べています。
02研究でわかっていること
ゴースティングは、はっきり断られるより「排除された」「自分ではどうにもできない」と感じさせやすいことが実験で示されています。
Pancaniら(2022)[1]
ゴースティング、オービティング(連絡は断つがSNSは見続ける)、はっきりした拒絶のどれかを経験した人に、そのときを思い出してもらい比べた。ゴースティング群は拒絶群より仲間外れにされた感覚が強く(平均4.63対3.61)、「所属」と「コントロール」の欲求がより脅かされていた。
対象: 若い成人176人(平均23.4歳、約7割が女性) / 限界: 過去の経験を思い出してもらう方法のため、記憶の偏りが入りうる。
Pancaniら(2022)[1]
ゴースティングは拒絶より「予想外」で「不公平」な出来事と評価され、相手との関係の価値も低く見積もり直されていた。一方、相手へのいら立ちを測る課題では、拒絶された人の方が強い反応を示した。
対象: 上と同じ176人 / 限界: いら立ちは実験課題で測ったもので、実際の行動を直接見たものではない。
Navarroら(2020)[2]
過去1年にゴースティングだけを経験した人は4.8%、ブレッドクラミング(気まぐれにDMや「いいね」を送り、関係は進めない)は14.1%、両方は2.4%。ゴースティングだけの経験は生活満足度・孤独感・無力感と関連がなかったが、ブレッドクラミングと両方の経験は、生活満足度の低さや孤独感・無力感の高さと結びついていた。
対象: 18〜40歳の成人626人 / 限界: 一時点の調査で、どちらが原因かはわからない。
Freedmanら(2019)[3]
「相性は最初から決まっている」と考える運命信念が強い人ほど、ゴースティングを受け入れやすく、使うつもりがあり、実際に使ったこともある傾向があった。関係は努力で育つと考える成長信念が強い人は、逆の傾向を示した。
対象: オンライン調査の参加者(研究1は554人、研究2は747人) / 限界: 相関の研究で、信念がゴースティングを生むという因果までは確かめていない。
03見抜くサインと、身を守る小さな一歩
相手の沈黙を「自分の価値の答え」にしないことが第一歩です。待つ期限を自分で決め、結末を相手任せにしないようにします。
待つ期限を自分で決める
「1週間返事がなければ、この関係は終わったものとして扱う」など、区切りを自分でつけます。結末を相手任せにしないことで、失ったコントロールの感覚を取り戻しやすくなります。
所要 1分
送るなら1通だけにする
気持ちを伝えたいときは、責めずに「連絡がないので、ここで区切りにします」と1通だけ送ります。返事を求めて何通も送るのは避けます。
所要 5分
「ときどきだけ来る連絡」に気づく
完全に途絶えるより、思わせぶりな連絡が時々だけ来る状態の方が、孤独感や無力感と結びついていました。期待させる連絡が続くなら、自分から距離を置く選択肢を持っておきます。
所要 数秒
04距離の取り方と相談先
相手の様子を追い続けると、気持ちの区切りがつきにくくなります。目に入らない状態をつくり、つらさが長引くときは相談窓口を使ってください。
- 相手のSNSは、ブロックしなくてもミュートで目に入らない状態をつくれます。
- 「自分の何が悪かったのか」の答えは、相手が説明しない限りわかりません。同じ問いを繰り返していると気づいたら、そこで考えるのを止めます。
- 信頼できる友人に、起きた事実と気持ちを話します。ひとりで抱え込まないことが大切です。
- 研究では、ゴースティングだけの経験と、生活満足度の低さとの関連は見られませんでした。今のつらさが、ずっと同じ強さで続くとは限りません。
05よくある質問
ゴースティングについて、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
ゴースティングされるのは、自分に原因があるからですか?
そうとは限りません。研究では、「相性は最初から決まっている」と考える人ほどゴースティングを受け入れやすく、実際に使ったことがある傾向がありました。相手の関係観による部分も大きいと考えられます。
はっきり振られるのと音信不通、どちらがつらいの?
176人の研究では、ゴースティングの方が仲間外れにされた感覚が強く、所属とコントロールの欲求がより脅かされていました。一方、相手へのいら立ちは、はっきり拒絶された人の方が強く出ていました。
ゴースティングはどれくらい起きているの?
アメリカの成人554人の調査では、25.3%がゴースティングされた経験があり、21.7%が自分からしたことがあると答えています。
ブレッドクラミングとは何ですか?
関係を進める気はないのに、ときどきDMや「いいね」を送って相手の関心をつなぎとめる行動です。626人の調査では、ブレッドクラミングの経験が、生活満足度の低さや孤独感・無力感の高さと結びついていました。
出典
- Pancani, L., Aureli, N., & Riva, P. (2022). Relationship dissolution strategies: Comparing the psychological consequences of ghosting, orbiting, and rejection. Cyberpsychology: Journal of Psychosocial Research on Cyberspace, 16(2), Article 9. https://cyberpsychology.eu/article/view/14691
- Navarro, R., Larrañaga, E., Yubero, S., & Víllora, B. (2020). Psychological Correlates of Ghosting and Breadcrumbing Experiences: A Preliminary Study among Adults. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(3), 1116. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7037474/
- Freedman, G., Powell, D. N., Le, B., & Williams, K. D. (2019). Ghosting and destiny: Implicit theories of relationships predict beliefs about ghosting. Journal of Social and Personal Relationships, 36(3), 905-924. https://doi.org/10.1177/0265407517748791
