告白して振られた・断ったあとの気まずさ。友達や職場の関係はどう保つか、片思いの「両側」の研究

告白のあとの気まずさは、振られた側だけでなく、断った側にも起きます。研究では、片思いは両側にとってつらい経験で、断った側も罪悪感を抱えると報告されています。関係を保ちたいなら、断る側ははっきり一度伝え、両側とも避けずに以前の接し方へ戻ることが手がかりになります。
3行でわかる
- 片思いは振られた側も断った側もつらい経験で、断った側は「悪くないのに罪悪感がある」状態になりやすいと報告されています。
- あいまいな断り方は「期待させられた」という誤解を生みやすく、両側ともに望ましくないと考えていました。
- 友人関係を保てた人たちは、「大丈夫」と伝え合い、避けずに以前の接し方へ戻っていました。
01何が起きているのか(悩みの正体)
告白のあとの気まずさは、両側が違う物語を抱えることから生まれます。振られた側は「期待させられた」と感じやすく、断った側は「悪くないのに傷つけた」と感じやすいのです。
告白の前には、先延ばしにする迷いや断られる不安があります。けれど本当に困るのは、答えが出たあとかもしれません。同じクラス、同じサークル、同じ職場。明日も顔を合わせる相手だからです。
心理学者バウマイスターらは1993年、片思いを「思いを寄せた側」と「断った側」の両方の体験談で比べました。その結論は、片思いは両側にとってつらい経験で、互いに相手の気持ちを理解できていない、というものでした。
思いを寄せた側は、気持ちは通じ合っていた、期待させられた、はっきり断られていない、と受け取りがちでした。一方で断った側は、自分は悪くないと考えながらも、相手を傷つけたことに罪悪感を抱いていました。同じ出来事でも、両側の受け取り方はこれほど違います。気まずさの正体は、このずれです。
02研究でわかっていること
断る側ははっきり一度伝えるほうが、両側にとってよいと考えられています。謝罪の言葉は、相手の気持ちを軽くするとは限りません。関係が続くかは、その後の接し方に左右されていました。
10人に8人
米国カリフォルニア大学デービス校の研究者によると、大学生の10人に8人は、20歳までに友人への片思いを少なくとも1回経験しています[5]。
Baumeister・Wotman・Stillwell(1993年)[1]
片思いの体験談を、思いを寄せた側と断った側で比べた。片思いは両側にとってつらい経験だった。振り返ったとき、思いを寄せた側には良い感情と強い否定的な感情が混ざっていたが、断った側の語りは、思いを寄せた側より一様に否定的だった。断った側の多くは、相手が粘り続けることを、踏み込まれて煩わしいと感じていた。
対象/性質: 体験談(ナラティブ)を比べた査読論文 / 限界: 本人が思い出して書いた話で、同じ出来事の両側を対にして集めたものではない。
Freedman・Williams・Beer(2016年)[2]
人を拒む側への助言を整理した理論論文。断り方を「はっきり断る」「無視する」「あいまいにする」の3つに分け、はっきり断るほうが相手の傷つきも、断った側の負担も小さくなると提案した。片思いの研究では、両側とも遠回しな伝え方を望ましくないと考えていたことも紹介している。
対象/性質: 先行研究をもとにした理論・仮説の論文 / 限界: 提案の多くはこれから検証される予測で、実験で確かめた結果ではない。
Freedmanら(2017年)[3]
断りの言葉に「ごめんね」を入れると、相手の傷つきは減るのかを複数の研究で調べた。参加者が書いた断りの文の39%に謝罪が含まれていた。全体では、謝罪つきの断りのほうが傷つきが大きく、「許す」と言わなければならない気持ちは強まったが、実際に許す気持ちは強まらなかった。
対象/性質: 想定場面の文章(4研究、計1,096人)と対面の実験などを組み合わせた査読論文 / 限界: デートの誘いを断る場面に限ると、謝罪の割合は29.3%で、謝罪と傷つきの関係は見られなかった。
Joel・Teper・MacDonald(2014年)[4]
好みに合わない相手からデートに誘われたとき、人は想像上の場面より本当の場面のほうが断りにくかった。その理由の一部は、相手の気持ちを傷つけたくないという思いだった。2つの研究で確かめている。
対象/性質: 交際相手のいない人を対象にした2つの実験 / 限界: 初対面に近い相手からの誘いで、友人や同僚からの告白そのものを調べたものではない。
Motley(カリフォルニア大学デービス校の紹介記事、2009年)[5]
友人への片思いが打ち明けられて断られると、ほぼ必ず両側に気まずさと恥ずかしさが生まれ、多くは友人関係が終わっていた。関係を保てた人たちは、「受け止められる」「友情を大切にしたい」と伝え合い、避けずに以前のやり取りに戻っていた。
対象/性質: 大学生への聞き取りをまとめた研究(書籍の章)を、大学が紹介した記事 / 限界: 学術誌の査読論文ではなく、紹介記事で確認できた範囲だけを載せている。
関係を保てた人たちと、こじれやすい振る舞いを、研究の内容で並べると次のようになります。
| 場面 | 保ちやすい振る舞い | こじれやすい振る舞い |
|---|---|---|
| 断るとき | 一度、はっきり断る[2] | あいまいにする・返事をせず無視する[2] |
| 理由を伝えるとき | 見た目や性格など、相手が変えにくい点を理由にしない[2] | 好きな人がいると作り話をする[5] |
| その後の接し方 | 以前のあいさつや会話に戻る[5] | 会うのや話すのを避け、距離を置き続ける[5] |
| 周りの人との関係 | 2人の間だけの話にする[5] | 断った側が告白を第三者に話す[5] |
| 思いを寄せた側 | 相手の答えを受け止め、気を引く言動を控える[1][5] | 断られても粘り続ける[1] |
03気まずさをほどく小さな一歩
断った側は一度だけはっきり伝え、両側とも「これまでどおりでいたい」と短く言葉にします。そのうえで、あいさつなど以前のやり取りに戻すのが、研究に沿った進め方です。
断る側は、一度だけはっきり伝える
「気持ちはうれしいけれど、付き合うことはできない」のように、答えをぼかさずに伝えます。「今は」「いつか」など、期待を残す言い方は避けます。
所要 1分
理由は相手を責めないものにとどめる
研究では、断る側は相手を傷つけないよう、見た目や性格など相手が変えにくい点を理由にするのを避けようとしていました。好きな人がいるという作り話も、関係を保てた人たちが避けていた振る舞いです。
所要 1分
「これまでどおりでいたい」を短く言葉にする
振られた側も断った側も、関係を続けたいなら「大丈夫」「友達でいたい」と一言伝えます。関係を保てた人たちに共通していた振る舞いです。
所要 1分
翌日から、あいさつだけは以前と同じにする
無理に盛り上げる必要はありません。目を合わせてあいさつする、必要な連絡は普通に返す。避け続けるほど、気まずさは固まりやすくなります。
所要 数秒
告白のことは2人の間にとどめる
断った側が周りに話すと、相手は職場や教室にいづらくなります。相談したいときは、2人の共通の知り合いではない人を選びます。
所要 0分
04距離の取り方と相談先
関係を保つことは義務ではありません。つらければ、しばらく距離を置いてかまいません。断ったあとも誘いや連絡が続いて怖いときは、警察相談専用電話(#9110)に相談できます。
- 振られた側は、すぐに友達に戻れなくても普通です。気持ちが落ち着くまで、2人きりの時間を自分から増やさないのは、相手への配慮にもなります。気持ちの立て直し方は脈なしとわかったときの研究にまとめています。
- 断った側は、謝り続けなくて大丈夫です。研究では、謝罪の言葉が相手の傷つきを減らすとは限りませんでした。
- 職場や学校では、仕事や授業に必要なやり取りを優先し、それ以外の場面は相手のペースに任せます。
- 断ったあとも何度も誘われる、待ち伏せされる、連絡が止まらない。こうした状況は「気まずさ」ではなく、身を守る問題です。
05よくある質問
告白のあとの気まずさについて、よくある疑問に、確認できた研究の範囲で答えます。
告白して振られたあと、友達に戻れる?
戻れることはありますが、簡単ではありません。友人への片思いを打ち明けて断られると、ほぼ必ず両側に気まずさが生まれ、多くは友人関係が終わっていたと報告されています。関係を保てた人たちは、「大丈夫」と伝え合い、避けずに以前のやり取りに戻っていました。
告白を断るとき、「ごめんね」と謝ったほうがいい?
謝れば傷つきが減るとは限りません。断りの言葉に謝罪を入れた研究では、全体として相手の傷つきは減らず、「許す」と言わなければならない気持ちが強まっていました。ただしデートの誘いを断る場面では、謝罪と傷つきの関係は見られませんでした。謝罪よりも、答えをはっきり伝えることを優先してください。
断った側なのに、罪悪感で苦しいのはおかしい?
おかしくありません。片思いの研究では、断った側は自分は悪くないと考えながらも、相手を傷つけたことに罪悪感を抱いていました。断った側の語りは、思いを寄せた側よりも一様に否定的だったと報告されています。
振られたのに、相手の態度が前と変わらないのは脈があるから?
そう受け取るのは早いと考えてください。片思いの研究では、思いを寄せた側ほど「気持ちは通じていた」「期待させられた」と受け取りやすいことがわかっています。態度が変わらないのは、関係を保とうとする配慮である可能性もあります。
出典
- Baumeister, R. F., Wotman, S. R., & Stillwell, A. M. (1993). Unrequited love: On heartbreak, anger, guilt, scriptlessness, and humiliation. Journal of Personality and Social Psychology, 64(3), 377-394. https://doi.org/10.1037/0022-3514.64.3.377
- Freedman, G., Williams, K. D., & Beer, J. S. (2016). Softening the Blow of Social Exclusion: The Responsive Theory of Social Exclusion. Frontiers in Psychology, 7, 1570. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5056179/
- Freedman, G., Burgoon, E. M., Ferrell, J. D., Pennebaker, J. W., & Beer, J. S. (2017). When Saying Sorry May Not Help: The Impact of Apologies on Social Rejections. Frontiers in Psychology, 8, 1375. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.01375
- Joel, S., Teper, R., & MacDonald, G. (2014). People overestimate their willingness to reject potential romantic partners by overlooking their concern for other people. Psychological Science, 25(12), 2233-2240. https://doi.org/10.1177/0956797614552828
- UC Davis (2009). Unrequited Love: How to Stay Friends(Michael Motley の研究の紹介。Studies in Applied Interpersonal Communication, Sage, 2008). https://www.ucdavis.edu/news/unrequited-love-how-stay-friends
- 警察庁 犯罪被害者等施策ホームページ「ストーカー」(警察相談専用電話 #9110). https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/portal/search/kensaku/st/index.html
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談. https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/


