しぐさ・ボディランゲージ

話が細かすぎるのは嘘のサインか。話の具体性と嘘の研究でわかったこと

約6分で読めます

Workplace Desk
Photo: Chimene Gaspar / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開されている研究論文をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の人を診断・判定するものではありません。出典は末尾にあります。

聞いてもいないのに、時間や場所、誰と何を話したかまで細かく説明してくる。「話が細かすぎるのは嘘をついているサイン」という説は、恋愛メディアでよく紹介されます。結論から言うと、研究が示す傾向はその逆です。本当の話の方が細部は多く、嘘の話の方が少ない傾向がありました。ただしその差は小さく、細かさだけで嘘かどうかは判定できません。

3行でわかる

  1. 158種類の手がかりを統合したメタ分析では、嘘の話は本当の話より細部が少なかった(効果量 d=−0.30)。「細かすぎる=嘘」とは逆向きの結果。
  2. 実体験と作り話を比べたメタ分析でも、細部の量を調べた35研究で実体験の方が細部が多かった(d=0.55)。一方で、本筋と関係ない「余計な細部」の差はほぼなかった。
  3. ただし結果は研究ごとのばらつきが大きく、細部の量は意図して増減できる。人が嘘を見抜ける正解率も平均54%で、話の細かさから嘘を断定することはできない。

01何が起きているのか(悩みの正体)

「細かすぎる話は嘘」という説は、言い訳を作り込むほど説明が長くなる、というイメージから来ています。しかし研究で確かめられているのは、ほぼ逆向きの傾向です。

恋愛の場面では、帰りが遅かった理由や、休日の過ごし方を説明されることがあります。そのとき、聞いてもいない細部まで話されると「怪しい」と感じる人は少なくありません。「嘘をつく人は、疑われないように話を作り込むから細かくなる」という説明もよく見かけます。

一方、嘘の研究では長年、別の考え方が検証されてきました。実際に体験したことは記憶の中に細部がたくさんあり、話すときにも自然と細部が多くなる、という考え方です。作り話にはもともと記憶がないため、細部を思い出して話すことが難しくなります。では、実際のデータはどちらを支持しているのでしょうか。

02研究でわかっていること

2つのメタ分析はどちらも、本当の話の方が細部が多いという結果でした。ただし効果は小さめで、研究によるばらつきも大きいとされています。

DePaulo ほか(2003年)[1]

嘘に伴う158種類の手がかりについて、1,338の推定値を統合したメタ分析(多くの研究をまとめて分析する方法)。嘘の話は本当の話より細部が少なかった(効果量 d=−0.30、24の推定値・のべ883人)。この差は、相手とやりとりしながら話す場面で見られ(d=−0.33)、一方的に話す場面ではほぼなかった(d=−0.06)。

対象: 主に実験室で嘘と本当を話してもらった研究 / 限界: 推定値どうしのばらつきが大きく、すべての状況で同じ差が出るとは限らない。

DePaulo ほか(2003年)[1]

同じメタ分析で、返答の長さ(d=−0.03、49の推定値)や、本筋と関係ない余計な細部(d=−0.01)には、嘘と本当でほとんど差がなかった。3つ以上の推定値があった88の手がかりで見ても、効果の大きさの中央値は0.10と小さかった。

限界: 「長く話す」「余計なことまで話す」こと自体は、嘘の手がかりとして確認されていない。

Amado ほか(2016年)[2]

大人の実体験の記憶と作り話を、供述の内容から比べた研究のメタ分析。「細部の量」は35研究・2,714件の供述で、実体験の方が多かった(d=0.55)。一方、余計な細部の差は小さかった(d=0.14)。

限界: 著者らは、結果をほかの集団や場面に一般化できない(研究によって効果が大きく変わる)と述べている。供述分析は専門家が書き起こしを採点する方法で、会話中にその場で判断するものではない。

Vrij ほか(2023年)[4]

嘘の研究者らは、話全体の細部の量を、本当と嘘を分ける言葉の手がかりの中で最も有力なものと位置づけている。そのうえで、実際の判定には向かないと指摘している。会話をしながら細部を数えるのは難しく、細部の量は話し手が意図して増やせるためだ。

限界: 捜査や審査の面接を想定した論文で、恋愛の場面を直接調べたものではない。

Bond・DePaulo(2006年)[5]

206の文献、のべ24,483人の判定者を統合したメタ分析で、特別な道具や訓練なしに嘘と本当を見分けた正解率は平均54%だった。偶然の50%をわずかに上回る程度にとどまる。

限界: 話の細かさだけでなく、しぐさや声を含めた見抜く力全体の結果。

2つのメタ分析の数字を並べると、次のようになります。研究の向きはそろっていますが、「細かすぎる話」を嘘のサインとする根拠はどちらにも見当たりません。

話の特徴DePauloら(2003年)Amadoら(2016年)
話に含まれる細部の量嘘の方が少ない(d=−0.30、24の推定値)[1]実体験の方が多い(d=0.55、35研究)[2]
本筋と関係ない余計な細部差はほぼなし(d=−0.01、6の推定値)[1]差は小さい(d=0.14、27研究)[2]
返答の長さ差はほぼなし(d=−0.03、49の推定値)[1](調べていない)
効果量 d は、2つのグループの差の大きさを表す数字です。目安として0.2前後は「小さい差」、0.5前後は「中くらいの差」とされます。−(マイナス)は、嘘の話の方が少ないことを表します。

03見抜くサインと、身を守る小さな一歩

話の細かさから読めるのは「その話について記憶や情報が多いかもしれない」までです。嘘かどうかは、細かさではなく事実との突き合わせで確かめます。

  • 読めること: 平均すると、実際に体験した話の方が細部は多い傾向がある
  • 読めないこと: 目の前の相手が嘘をついているかどうか。話が細かい人も、少ない人も、それだけでは判断できない
  • 注意点: もともと話し好きな人、緊張すると説明が増える人、逆に口数が少ない人もいる。細部の量は意図して変えることもできる
1

「細かい=怪しい」をいったん外す

研究の傾向は逆向きで、しかも差は小さい。細かい説明を聞いただけで疑いを強めない。

所要 1分

2

その人の普段の話し方と比べる

もともと細かく話す人なのか、普段は短く話す人なのか。話し方の癖を知らないまま判断しない。

所要 2分

3

気になる点は事実で確かめる

話の細かさではなく、約束が守られているか、言葉と行動が一致しているかを、時間をかけて見る。

所要 5分

4

不安は率直に伝える

推測を重ねるより、落ち着いたタイミングで「気になっている」と自分の気持ちとして話してみる。

所要 5分

しぐさで嘘を見抜けるかについては正解率は約54%という研究、身近な嘘の頻度についてはマッチングアプリのプロフィールの研究でも詳しく紹介しています。

04距離の取り方と相談先

話の細かさ一つで相手を嘘つきと決めつける必要はありません。お金や身の安全が関わる不安があるときは、公的な窓口に相談できます。

  • 細かい説明は「嘘のサイン」ではなく、話し方の個性の一つとして受け止める
  • 疑いが続いて関係がつらいときは、話の内容よりも、約束や行動の積み重ねを見て距離を考える
  • 交際相手からお金を求められている、話が事実と合わないまま金銭の話が進むなどの不安があるときは、警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)に相談する

05よくある質問

話の細かさと嘘について、よくある疑問にお答えします。

話が細かすぎる人は嘘をついているのですか?

そうとは言えません。研究ではむしろ逆で、本当の話の方が細部が多い傾向がありました。ただし差は小さく、話し好きな人もいるため、細かさだけで嘘かどうかは判定できません。

嘘をつく人は話が短くなるのですか?

返答の長さそのものは、嘘と本当でほとんど差がありませんでした。49の推定値を統合した結果で、効果量は−0.03とほぼゼロです。差が見られたのは長さではなく、話に含まれる細部の量の方でした。

細部が少ない話は嘘だと考えていいですか?

いいえ。緊張している、記憶があいまい、話したくない事情があるなど、細部が少なくなる理由は嘘以外にもたくさんあります。研究の差は大勢の平均の話で、目の前の一人に当てはめて断定できるほど大きくありません。

しぐさ・ボディランゲージ索引で「話が細かすぎる」を見る
ほかのしぐさも50種類から調べられます。4択クイズもあります。

出典

  1. DePaulo, B. M., Lindsay, J. J., Malone, B. E., Muhlenbruck, L., Charlton, K., & Cooper, H. (2003). Cues to deception. Psychological Bulletin, 129(1), 74-118. https://doi.org/10.1037/0033-2909.129.1.74
  2. Amado, B. G., Arce, R., Fariña, F., & Vilariño, M. (2016). Criteria-Based Content Analysis (CBCA) reality criteria in adults: A meta-analytic review. International Journal of Clinical and Health Psychology, 16(2), 201-210. https://doi.org/10.1016/j.ijchp.2016.01.002
  3. Vrij, A., Granhag, P. A., Ashkenazi, T., Ganis, G., Leal, S., & Fisher, R. P. (2022). Verbal lie detection: Its past, present and future. Brain Sciences, 12(12), 1644. https://doi.org/10.3390/brainsci12121644
  4. Vrij, A., Fisher, R. P., & Leal, S. (2023). How researchers can make verbal lie detection more attractive for practitioners. Psychiatry, Psychology and Law, 30(3), 383-396. https://doi.org/10.1080/13218719.2022.2035842
  5. Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2006). Accuracy of deception judgments. Personality and Social Psychology Review, 10(3), 214-234. https://doi.org/10.1207/s15327957pspr1003_2