しぐさ・ボディランゲージ

髪や顔をよく触るのは緊張のサインか。自己接触(self-touch)としぐさの研究

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hand mirror comb
Photo: Rama / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開されている研究論文をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の人を診断・判定するものではありません。出典は末尾にあります。

話している相手が、何度も髪や頬、口元に手をやる。「緊張しているのかな」「何か隠しているのかな」と気になったことはありませんか。結論から言うと、顔を触る「自己接触」は、緊張や頭の負荷が高まると増えやすいしぐさです。ただし、誰でも1時間に何十回も無意識にしているありふれた動作でもあり、嘘や好意を読み取る手がかりにはなりません。読めることと読めないことを、研究から切り分けます。

3行でわかる

  1. 医学生26人を録画した観察研究では、顔に触れる回数は平均で1時間に23回。自己接触は特別な人の癖ではなく、誰にでもある日常の動作。
  2. 記憶を保ちながら不快な音を聞く実験では、顔を触る回数がほかの場面の約1.8倍(194回対109回)に増えた。緊張や頭の負荷で増えるのは確か。
  3. 顔を触る動作は、本人の緊張を落ち着かせる働きを持つ可能性がある。一方、人がしぐさなどから嘘を見抜ける正解率は平均54%で、自己接触から本音を断定することはできない。

01何が起きているのか(悩みの正体)

髪や顔を触る動作は、心理学で「自己接触」と呼ばれる、意識しないまま出る動きです。伝えるための身ぶりではなく、自分の状態を整えるための動きと考えられています。

自己接触とは、自分の手で自分の体に触れる動作のことです。頬杖、あごをさする、髪をいじる、口元に手をやる、といった動きがこれに当たります。研究者は、相手に何かを伝える「ジェスチャー」とは別のものとして扱っています。本人はほとんど自覚していないことが多いのが特徴です。

「顔を触る人は嘘をついている」「髪を触るのは気がある証拠」という話をよく見かけます。けれども、そうした俗説の多くは研究で確かめられていません。研究でわかっているのは、もっと地味で、もっと確かなことです。それは「緊張や頭の負荷が高いときに増えやすい」という点です。なお、研究の多くは「顔」への接触を測っています。髪だけを分けて調べた研究は少ないため、ここでは顔や頭への接触としてまとめて扱います。

02研究でわかっていること

顔に触れる動作は誰にでも頻繁にあり、不快な刺激や記憶の負荷がかかると増えます。さらに、本人のストレスを和らげる働きを持つ可能性が報告されています。

Kwok・Gralton・McLaws(2015年)[1]

オーストラリアの医学生26人を録画して観察したところ、顔に触れた回数は平均で1時間に23回だった。顔に触れた計2,346回のうち44%が口・鼻・目といった粘膜部分で、56%がそれ以外の部分だった。

対象: ニューサウスウェールズ大学の医学生26人(講義中の録画) / 限界: もともとは手指衛生(感染予防)の研究で、心理状態との関係は調べていない。

Mueller・Martin・Grunwald(2019年)[2]

60人に、触った物の形を覚えたまま、気が散る不快な音を聞いて待つ課題を行ってもらった。顔を触った回数は、覚えた内容を保っている待ち時間に194回。ほかの段階すべてを合わせた109回より明らかに多かった。1回の接触は平均約1.8秒で、負荷の高い場面ほど手の動きはゆっくり、触れている時間は長くなった。

対象: 成人60人(うち54人に自然な顔への接触が見られた) / 限界: 実験室の課題での結果で、会話や恋愛の場面にそのまま当てはまるとは限らない。

Grunwald ほか(2014年)[3]

14人の脳波を記録したところ、不快な音を聞いている間に自然な顔への接触が増えた。さらに、自然に顔を触った前後では脳波に変化が見られた。指示されて触った場合には、その変化は見られなかった。著者らは、無意識の自己接触が感情の調整や記憶の保持に関わっている可能性を指摘している。

対象: 成人14人 / 限界: 人数が少なく、脳波の変化が何を意味するかは解釈の段階にとどまる。

Mohiyeddini・Semple(2013年)[4]

健康な成人男性42人に、人前でスピーチなどを行うストレス課題を受けてもらった。顔に触れる・頭をかく・唇をかむといった動作が多い人ほど、その時点の不安は高かった。それと同時に、課題後に感じたストレスは低かった。こうした動作が、緊張の「表れ」であると同時に、ストレスを和らげる「対処」でもある可能性を示している。

対象: 成人男性42人(平均28歳) / 限界: 男性のみの相関研究で、動作がストレスを下げたという因果関係までは確定できない。

Bond・DePaulo(2006年)[5]

206の文献、のべ24,483人の判定者を統合したメタ分析(多くの研究をまとめて分析する方法)で、特別な道具や訓練なしに嘘と本当を見分けられた正解率は平均54%だった。偶然の50%をわずかに上回る程度で、見た目の手がかりだけで判断したときより、声を聞けるときの方が正確だった。

対象: 206文献・24,483人の判定者 / 限界: 自己接触だけを調べた研究ではなく、しぐさ全般を含む「見抜く力」全体の結果。

03見抜くサインと、身を守る小さな一歩

自己接触から読めるのは「今、緊張や負荷が高いかもしれない」までです。嘘・好意・本音の中身は読めないので、言葉と行動の積み重ねで確かめます。

1

「その人の普段」と比べる

もともと顔をよく触る人もいる。回数そのものではなく、いつもより増えたかどうかに注目する。

所要 1分

2

増えたタイミングを振り返る

どの話題のときに増えたかを見ると、その話題が相手にとって負担なのかもしれない、という手がかりになる。

所要 3分

3

「緊張させているかも」と受け止める

嘘を疑うより、話すペースを落とす、質問を一度やめるなど、相手が話しやすい場をつくる方に使う。

所要 2分

4

本音は言葉で確かめる

気になることがあれば、しぐさから推測を重ねず、落ち着いたタイミングで率直に聞いてみる。

所要 5分

04距離の取り方と相談先

しぐさ一つで相手を疑ったり、自分の癖を責めたりする必要はありません。不安が強く続くときは、専門の窓口に相談できます。

05よくある質問

髪や顔を触るしぐさについて、よくある疑問にお答えします。

話している相手が顔をよく触るのは、嘘をついているからですか?

そうとは言えません。顔に触れる動作は誰にでも1時間に何十回もある日常的なもので、緊張や考えごとでも増えます。しぐさなどから嘘を見抜く正解率は平均54%と偶然に近く、顔を触ることを嘘の証拠にはできません。

髪を触るのは好意のサインですか?

髪を触る動作を好意と結びつけて確かめた研究は見当たりません。研究でわかっているのは、顔や頭への自己接触が緊張や頭の負荷で増えやすいということです。好意は、会う頻度や会話の内容など、別の行動の積み重ねで判断する方が確かです。

自分が無意識に顔や髪を触ってしまうのは、直したほうがいいですか?

心理面では、無理に直す必要はありません。研究では、こうした動作が緊張を和らげる働きを持つ可能性が報告されています。ただし口・鼻・目に触れる回数が多いと感染予防の面では気になるため、手洗いを心がけるとよいでしょう。

出典

  1. Kwok, Y. L. A., Gralton, J., & McLaws, M.-L. (2015). Face touching: A frequent habit that has implications for hand hygiene. American Journal of Infection Control, 43(2), 112-114. https://doi.org/10.1016/j.ajic.2014.10.015
  2. Mueller, S. M., Martin, S., & Grunwald, M. (2019). Self-touch: Contact durations and point of touch of spontaneous facial self-touches differ depending on cognitive and emotional load. PLoS ONE, 14(3), e0213677. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0213677
  3. Grunwald, M., Weiss, T., Mueller, S., & Rall, L. (2014). EEG changes caused by spontaneous facial self-touch may represent emotion regulating processes and working memory maintenance. Brain Research, 1557, 111-126. https://doi.org/10.1016/j.brainres.2014.02.002
  4. Mohiyeddini, C., & Semple, S. (2013). Displacement behaviour regulates the experience of stress in men. Stress, 16(2), 163-171. https://doi.org/10.3109/10253890.2012.707709
  5. Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2006). Accuracy of deception judgments. Personality and Social Psychology Review, 10(3), 214-234. https://doi.org/10.1207/s15327957pspr1003_2