危険な相手のサイン

「謝れば許してもらえる」を繰り返す相手。モラハラをする人の行動パターンの研究

· 約6分で読めます

工事現場に張られた黄色い注意喚起テープ
Photo: Tewy / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開されている研究論文をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の人を診断・判定するものではありません。出典は末尾にあります。

叱られたわけでもないのに、そばにいると自分の感じ方に自信が持てなくなる。謝られて仲直りしても、しばらくするとまた同じことが起きる。そんな相手との関係に「これは自分が我慢すればいいことなのか」と迷っている人は少なくありません。モラハラという言葉は広く使われますが、そこに共通する行動のパターンは、実は研究でいくつか報告されています。

3行でわかる

  1. 操作的で計算高い性格傾向(マキャベリズム)は、身体的な暴力よりも心理的な暴力と強く結びついている
  2. 「傷つける→謝る→やり直しを約束する」を繰り返す加害のサイクルが、質的研究で報告されている
  3. こうした関係にある人は、心的外傷後ストレス症状や抑うつと中程度の強さで結びついている

01何が起きているのか

「モラハラ」は医学的な診断名ではなく、相手を心理的に傷つけ、支配しようとする言動を指すことばとして、支援の現場や研究で使われています。特定の人物を「モラハラ人間」と断定するための道具ではなく、繰り返される言動のパターンに気づくための手がかりとして理解することが大切です。

研究では、こうした関係にある人がしばしば経験するのは、はっきりした暴力ではなく、じわじわと自分に自信が持てなくなっていく感覚だと報告されています。

その背景には、相手の性格傾向や、関係の中で繰り返される特定の行動パターンが関わっていることが、複数の研究からわかってきました。

02研究でわかっていること

操作的な性格傾向と、心理的な暴力の結びつき、そして「謝罪とやり直し」を繰り返すサイクルについて、査読を受けた研究が報告しています。

White ら(2024)マキャベリズムと親密なパートナーへの暴力に関するメタ分析[1]

他者を操作することに抵抗がない性格傾向(マキャベリズム)は、身体的な暴力(相関係数r=.05、有意差なし)よりも、心理的な暴力(r=.20)やSNS等を使った暴力(r=.25)と、より強く結びついていた。

19件の研究、合計9,464人分のデータを統合した分析。相関係数はいずれも0〜1の範囲で、値が大きいほど関連が強いことを示す指標。

Kurbatfinski ら(2025)当事者への聞き取り調査[2]

加害する側の行動として、相手を傷つけたあとに謝罪し、変わることを約束する、という流れが繰り返されるパターンが報告された。健康状態や信仰、子育てに関する事情を持ち出して相手の行動を制限しようとするケースもあった。

性的マイノリティ当事者18人、農村部に住む女性11人、支援者24人への聞き取りをもとにした質的研究。対象が限られるため、すべての関係に一般化できるとは限らない。

Lohmann ら(2024)支配的な関係とメンタルヘルスに関する系統的レビュー・メタ分析[3]

強い支配を受ける関係にあった人は、心的外傷後ストレス症状(r=.32)や抑うつ(r=.27)と、中程度の強さで結びついていた。

68件の研究を対象にした系統的レビューのうち、45件のデータを統合したメタ分析。関連の強さを示す指標であり、因果関係を直接証明するものではない。

03見抜くサインと、身を守る小さな一歩

「傷つける→謝る→やり直しを約束する」の繰り返しに心当たりがあるか、自分の感覚がどう変化しているかを、まず記録することから始められます。

1

繰り返しのパターンに気づく

研究で報告されている『傷つける→謝罪→やり直しの約束→再び同じことが起きる』という流れに、心当たりがないか振り返ってみます。1回だけの出来事と、繰り返されるパターンは分けて考えます。

5分

2

出来事と気分を記録する

何があったか、そのときどう感じたかを、日付とあわせて短くメモします。あとから読み返すと、自分ひとりでは気づきにくい変化のパターンが見えてくることがあります。

1分/回

3

信頼できる第三者に話してみる

家族や友人、あるいは専門の相談窓口に、状況をそのまま話してみます。『考えすぎかどうか』を自分だけで判断しようとしないことが、次の一歩につながります。

10〜30分

04距離の取り方と相談先

深刻さを自分だけで判断せず、公的な相談窓口を早めの選択肢として持っておくことが、研究でも支援の現場でも勧められています。

この記事は特定の人物を診断・断定するためのものではありません。心身の不調や被害が深刻な場合は、上記のような専門機関に相談してください。

05この研究から考えた、こんなアプリ

『傷つける→謝る→やり直す』のサイクルは、渦中にいると振り返りにくいものです。出来事と気分を記録し、パターンが見えてきたときに、そっと専門窓口の情報にもつながれるアプリを考えました。

APP IDEA

くりかえしログ(仮)

Before: 同じことが繰り返されている気がするのに、確信が持てない自分 → After: 記録をもとに、自分の変化とパターンに気づける自分

  • 出来事と、そのときの気分をワンタップで短く記録
  • 『謝罪・やり直しの約束』があったかどうかも合わせて記録し、繰り返しのパターンを振り返れる
  • 1か月単位で記録をグラフ化し、気分の変化を客観的に確認できる
  • つらいと感じたときは、公的な相談窓口の情報にワンタップでアクセスできる

こんなアプリがあったら使いたいですか? 感想やほしい機能は SEADICEのトップページ から教えてください。

06よくある質問

モラハラの行動パターンについて、研究の範囲でよくある疑問にお答えします。

モラハラは診断名ですか?

いいえ。医学的な診断名ではなく、相手を心理的に傷つけ支配しようとする言動を指すことばとして、研究や支援の現場で使われています。特定の人物への断定に使う言葉ではありません。

謝ってくれるということは、改善する可能性もありますか?

研究では、謝罪とやり直しの約束のあとに同じ行動が繰り返されるパターンが報告されています。謝罪があったことだけで判断せず、その後に実際の行動がどう変わったかを見ていくことが大切です。

相手に悪気がないように見えても、これに当てはまりますか?

研究の多くは、意図の有無よりも、言動が繰り返され、自分がどう感じ、変化しているかに注目しています。悪気の有無を自分だけで判定しようとせず、まずは自分の感覚を大切にしてください。

友人や家族、職場の関係でも同じようなことは起こりますか?

はい。今回紹介した研究の多くは恋愛・夫婦関係を対象にしていますが、支配や操作のパターン自体は、家族や職場など他の関係でも報告されています。

出典

  1. White LK, Valos N, de la Piedad Garcia X, Willis ML (2024). Machiavellianism and Intimate Partner Violence Perpetration: A Systematic Review and Meta-Analysis. Trauma, Violence, & Abuse. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11555792/
  2. Kurbatfinski S, Letourneau N, Novick J, Marshall S, Griggs K, McBride D, Nixon K (2025). "Don't You Love Me?" Abusers' Use of Shame-to-Guilt to Coercively Control 2SLGBTQQIA+ Individuals and Rural Women Experiencing Intimate Partner Violence. Women's Health. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12046170/
  3. Lohmann S, Cowlishaw S, Ney L, O'Donnell M, Felmingham K (2024). The Trauma and Mental Health Impacts of Coercive Control: A Systematic Review and Meta-Analysis. Trauma, Violence, & Abuse. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10666508/