顔が赤くなるのは好意のサインか。赤面の研究でわかったこと

目が合うと相手の顔が赤くなる。恋愛メディアでよく紹介される「脈ありサイン」の一つです。結論から言うと、赤面は好意のサインとは言えません。研究でわかっているのは、赤面が「人から注目される・評価される」と感じたときに起きる反応だということです。好きな相手の前でも、初対面の人や大勢の前でも同じように起こります。
3行でわかる
- 赤面は、望まない形で人の注目を浴びたときに起きる反応だと説明されている。好意そのものを示すしぐさではない。
- 女子大学生48人の実験では、見ている人が1人から4人に増えると赤面が強まった。相手が好きかどうかより、注目の量が効いている。
- 失敗のあとに赤面した人は、好意的に評価され、信頼もされやすかった。赤くなることは恥ではなく、相手との関係を修復する働きを持つ可能性がある。
01何が起きているのか(悩みの正体)
顔が赤くなるのは、注目や評価を意識したときに顔の血流が増える反応です。本人の意思では止められず、好き嫌いとは別の理由でもよく起こります。
恋愛メディアでは「好きな人と話すと顔が赤くなる」「目が合って赤くなったら脈あり」と紹介されることがよくあります。確かに、好きな人の前で顔が熱くなった経験がある人は多いでしょう。けれども、同じことは人前で発表するとき、ほめられたとき、失敗したときにも起こります。
ここで知っておきたいのは、赤面を好意と結びつけて直接調べた研究が見当たらないことです。研究で調べられてきたのは、赤面がどんな場面で起こり、見た人にどう受け取られるかでした。そこからわかったことを順に見ていきます。目が合うこと自体の意味は「目が合う回数は「好き」のサインか?」で詳しく扱っています。
02研究でわかっていること
赤面は人からの注目で起こり、見る人が増えるほど強まります。失敗のあとの赤面は相手の好感や信頼を高めるという結果も出ています。
Leary ほか(1992年)[1]
社会的な赤面についての研究を整理したレビュー論文。赤面の生理、起きやすい状況や人の特徴、周りへの影響をまとめたうえで、「人は望まない形で社会的な注目を浴びたときに赤面する」という説明を示した。
対象: それまでの赤面研究のレビュー / 限界: 理論の提案であり、恋愛感情との関係を直接調べたものではない。
Shearn ほか(1990年)[2]
大学生32人(女性16人・男性16人)に、前日に録画した自分の歌う姿を、4人に見られながら見てもらった。頬と耳の赤みは、比較用の映画の場面を見たときより大きく上がった。ただし映像で「赤面している」と見分けられたのは、赤みが最大の場面だけだった。
対象: 大学生32人 / 限界: 実験室の結果。赤みを測る機器では検出できても、外から見て分かるとは限らないことも示している。
Shearn ほか(1992年)[3]
女子大学生48人が、赤面を起こしやすい映像を、1人きり・1人に見られて・4人に見られての条件で見た。赤面は見る人が1人から4人に増えると強くなったが、0人から1人では変わらなかった。
対象: 女子大学生48人 / 限界: 女性のみ。相手が誰かという関係性は調べていない。
Dijk・de Jong・Peters(2009年)[4]
ルール違反(66人)または失敗(62人)の場面の文章を読んだあと、赤面した顔・していない顔の写真を評価してもらった。多くの場合、赤面した人の方が好感や信頼の面で好意的に評価された。
対象: 実験1が66人、実験2が62人 / 限界: 写真と文章による評価で、実際の対面場面とは異なる。
Dijk ほか(2011年)[5]
196人が、2回目に裏切ってきた相手とお金のやり取りをするゲームを行った。裏切りのあとに相手が赤面した写真を見た人は、赤面していない写真を見た人より、その相手に多くのお金を預けた。
対象: 196人 / 限界: コンピューター上の仮想の相手で、恋愛場面ではない。
Nikolić ほか(2018年)[6]
8〜12歳の子ども105人が人前で歌ったあと、大げさにほめる・普通にほめる・ほめないのいずれかを受けた。人前で不安を感じやすい子どもは、大げさにほめられたときだけ赤面が強まった。
対象: 8〜12歳の子ども105人 / 限界: 子どもの研究で、大人の恋愛場面にそのまま当てはまるとは限らない。
Dijk・de Jong(2012年)[7]
赤面を強く恐れる人は、赤面が起きる確率と、赤面したときに周りから悪く思われる度合いを、どちらも高く見積もっていた。実際に周りの人が下した評価は、赤面をあまり恐れない人の予想に近かった。
対象: 治療を求めて来た赤面を恐れる人たちと、比較群 / 限界: 場面を文章で示した評価の研究。
03見抜くサインと、身を守る小さな一歩
赤面から読めるのは「今、人の目を強く意識している」までです。好意があるかどうかは読めないので、言葉や行動の積み重ねで確かめます。
- 読めること: 注目される・評価されることを意識して、気恥ずかしさや緊張を感じている可能性がある
- 読めないこと: 自分に好意があるか、何を考えているか、嘘をついているか
- 注意点: 赤みは機器で測れても、外から見て分かるのは強いときだけ。暑さ・飲酒・運動でも顔は赤くなる
場面を振り返る
ほめた直後、大勢の前、失敗の直後など、注目が集まる場面ではなかったかを確かめる。
所要 1分
ほかの人の前でも赤くなるかを見る
誰の前でも赤くなりやすい人なら、あなた個人への好意とは結びつけにくい。
所要 3分
からかわずに流す
「顔赤いよ」と指摘すると、注目がさらに集まり本人の負担が増える。話題を先に進める方が相手は楽になる。
所要 1分
04距離の取り方と相談先
赤面は欠点ではなく、周りからはむしろ好意的に受け取られやすい反応です。赤面への不安が強く生活に響くときは、専門の窓口に相談できます。
- 相手の赤面は「注目を意識しているのかも」の目安にとどめ、好意の証拠として扱わない
- 自分が赤くなりやすくても、研究では周りが思うほど悪い印象にはなっていない。赤面を恐れる人ほど、その影響を大きく見積もりやすい
- 赤くなることが怖くて人に会うのを避けるなど、生活に支障が出てつらいときは、心療内科・カウンセリングや、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)に相談する
05よくある質問
顔が赤くなるしぐさについて、よくある疑問にお答えします。
好きな人の前で顔が赤くなるのは、脈ありだからですか?
そうとは言い切れません。研究では、赤面は「人から注目される」「評価される」と感じたときに起きる反応とされています。好きな相手の前でも、上司や初対面の人の前でも起こるため、赤面だけで好意を判断することはできません。
顔が赤くなりやすいと、相手に悪い印象を与えますか?
研究ではむしろ逆の結果が出ています。失敗やルール違反のあとに赤面した人の写真は、赤面していない人より好意的に評価され、信頼ゲームでは多くのお金を預けられました。赤くなりやすい人ほど、そのコストを大きく見積もりがちなことも報告されています。
ほめられて顔が赤くなるのはなぜですか?
8〜12歳の子ども105人の実験では、人前で歌ったあとに「信じられないくらい上手だった」と大げさにほめられると、人前で不安を感じやすい子ほど赤面が強まりました。注目されることや、期待に応えられるかという不安が関わると考えられています。
しぐさ・ボディランゲージ索引で「顔が赤くなる」を見る
ほかのしぐさも50種類から調べられます。4択クイズもあります。
出典
- Leary, M. R., Britt, T. W., Cutlip, W. D., & Templeton, J. L. (1992). Social blushing. Psychological Bulletin, 112(3), 446-460. https://doi.org/10.1037/0033-2909.112.3.446
- Shearn, D., Bergman, E., Hill, K., Abel, A., & Hinds, L. (1990). Facial coloration and temperature responses in blushing. Psychophysiology, 27(6), 687-693. https://doi.org/10.1111/j.1469-8986.1990.tb03194.x
- Shearn, D., Bergman, E., Hill, K., Abel, A., & Hinds, L. (1992). Blushing as a function of audience size. Psychophysiology, 29(4), 431-436. https://doi.org/10.1111/j.1469-8986.1992.tb01716.x
- Dijk, C., de Jong, P. J., & Peters, M. L. (2009). The remedial value of blushing in the context of transgressions and mishaps. Emotion, 9(2), 287-291. https://doi.org/10.1037/a0015081
- Dijk, C., Koenig, B., Ketelaar, T., & de Jong, P. J. (2011). Saved by the blush: Being trusted despite defecting. Emotion, 11(2), 313-319. https://doi.org/10.1037/a0022774
- Nikolić, M., Brummelman, E., Colonnesi, C., de Vente, W., & Bögels, S. M. (2018). When gushing leads to blushing: Inflated praise leads socially anxious children to blush. Behaviour Research and Therapy, 106, 1-6. https://doi.org/10.1016/j.brat.2018.04.003
- Dijk, C., & de Jong, P. J. (2012). Blushing-fearful individuals overestimate the costs and probability of their blushing. Behaviour Research and Therapy, 50(2), 158-162. https://doi.org/10.1016/j.brat.2011.11.006


