しぐさ・ボディランゲージ

座る距離・立つ距離で親密さはわかるのか。パーソナルスペースと好意の研究

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Beach chairs in Sellin, Rügen, Germany
Photo: Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開されている研究論文をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の人を診断・判定するものではありません。出典は末尾にあります。

相手との距離は、親密さをある程度は映します。42か国の調査では、心地よい距離は見知らぬ人で約135cm、親しい人で約32cmと、関係が近いほど短くなりました。ただし距離は、性別・年齢・育った地域の気候・その人の不安の強さでも変わります。「隣に座った」「少し離れて立った」という1回の距離だけで、好意の有無は判断できません。

3行でわかる

  1. 42か国・8,943人の調査で、心地よい距離は見知らぬ人135.1cm、知人91.7cm、親しい人31.9cmと、関係の近さに応じて縮んだ。
  2. VR実験では、魅力を感じる相手ほど近くまで近づく傾向が確認され、好意が距離に表れうることが示された。
  3. 一方で、女性・年齢の高い人・不安の強い人は距離を広めに取りやすく、距離の広さだけで「嫌われた」とは言えない。

01何が起きているのか(悩みの正体)

人は相手との関係に応じて無意識に距離を調整しています。ただしその距離は、相手への気持ちだけでなく本人の性質や状況でも決まります。

隣に座ってくれた、話すときに少し近かった。そんな小さな距離の変化に、相手の気持ちを読み取ろうとするのは自然なことです。他人に入られると不快に感じる自分の周りの空間は「パーソナルスペース」と呼ばれます。

心理学では、人類学者ホールが1966年に距離を4つに分けた考え方がよく知られています。親しい関係の「密接距離」、友人との「個体距離」、改まった場面の「社会距離」、講演などの「公衆距離」です。この区分は、距離が関係の近さを映すという発想の出発点になりました。

区分(ホール 1966年)理論上の範囲2017年の42か国調査の平均
密接距離(親しい人)0〜46cm31.9cm
個体距離(知人・友人)約46〜122cm91.7cm
社会距離(見知らぬ人)122〜210cm135.1cm

表の左2列は、出典[1]の論文が紹介しているホールの区分です。右の列は同じ論文が実際に測った平均値で、当メディアが並べて整理しました。理論と実測は大まかに一致しています。ただし、これは「多くの人の平均」です。目の前の1人の気持ちを判定する物差しではありません。

02研究でわかっていること

関係が近いほど、また魅力を感じる相手ほど距離は縮みます。一方で、性別・年齢・気候・不安でも距離は大きく変わることが複数の研究でわかっています。

Sorokowska ほか(2017年)[1]

42か国・8,943人に「会話の相手がどこまで近づいても心地よいか」を0〜220cmの図で答えてもらった。平均は、見知らぬ人135.1cm、知人91.7cm、親しい人31.9cm。関係が近いほど心地よい距離は短くなった。一方で、見知らぬ人との距離は女性ほど広く、暖かい国ほど狭かった。知人との距離は年齢が高いほど広かった。

対象: 42か国の一般市民8,943人(2013年調査) / 限界: 実際に立ったり座ったりした距離ではなく、図の上で答えた「好みの距離」。「親しい人」という言葉自体が近い距離を連想させた可能性も、著者らが限界として挙げている。

Welsch ほか(2020年)[2]

仮想空間(VR)の中で、男性の参加者に男女の人物へ「話しかけるつもりで」近づいてもらった。異性愛の男性は、女性の人物に対して男性の人物より短い距離で止まった。性的に惹かれる相手ほど近づく動きが速く、距離も縮まるという結果だった。好意や魅力が距離に表れうることを示す実験である。

対象: ドイツの大学などで募集した男性79名が参加 / 限界: 相手は実在の人ではなくVRの人物で、対象は欧米の男性のみ。女性や他の文化圏で同じ結果になるかは確かめられていない。

Haim-Nachum ほか(2021年)[3]

消防士24名に、友人と見知らぬ人がどこまで近づくと不快かを測る課題を行った。友人に対して見知らぬ人より近い距離を選ばなかった人ほど、不安が強かった。つまり、親しい相手にも距離を取ることは、相手への気持ちではなく本人の不安を映している場合がある。

対象: イスラエルの消防士24名 / 限界: 人数が少なく、トラウマを経験しやすい職業の集団。著者ら自身が、より大きな集団での再検証を求めている。

Kennedy ほか(2009年)[4]

扁桃体(脳の中で恐れや警戒に関わる部位)が両側とも損傷した女性は、実験者に近づかれても心地よいと感じる距離が平均0.34mだった。比較群20名の平均(外れ値3名を除いて0.64m)より明らかに近かった。健康な8名の脳画像実験では、人がすぐそばにいると知らされたとき扁桃体の活動が高まった。

対象: 扁桃体損傷のある女性1名と比較群20名、脳画像実験は健康な8名 / 限界: 損傷例は1名のみ。距離の感じ方の「仕組み」を示す研究で、恋愛感情を測ったものではない。

座ったときの距離を直接測った研究は、立った距離や図で答える研究に比べて少数です。この記事の数字も、多くは「立って会話するとき」「図の上で答えた好みの距離」のものです。座席の距離は、席の空き具合や店の作りにも強く左右される点に注意してください。

03見抜くサインと、身を守る小さな一歩

距離から読めるのは「関係の近さの大まかな傾向」までです。1回の距離より、変化と、その人のふだんの距離と比べることが勘違いを防ぎます。

1

1回の距離ではなく「変化」を見る

前回より近くに座るようになった、話すうちに少しずつ距離が縮んだ、という変化のほうが、その場1回の距離より手がかりになりやすい。

所要 3分

2

状況のせいではないか確かめる

席が空いていなかった、店が狭かった、寒かったなど、気持ち以外の理由で距離が決まっていないかを先に考える。

所要 2分

3

相手の「ふだんの距離」と比べる

その人が他の友人や同僚と話すときの距離と比べる。誰にでも近い人なら、近さは好意の証拠になりにくい。

所要 5分

4

言葉と行動で確かめる

距離だけで判断せず、会話を続けようとするか、連絡を返してくれるかなど、言葉や行動の積み重ねとあわせて見る。

所要 5分

04距離の取り方と相談先

近すぎて不快なら、それは脳が出している正当な警戒の信号です。距離を取ってよく、断っても接近が続くなら一人で抱えずに相談してください。

05よくある質問

座る距離・立つ距離と好意について、よく寄せられる疑問にお答えします。

隣に座る距離が近い人は、自分に好意があると考えていいですか?

好意の可能性はありますが、それだけでは判断できません。心地よい距離は性別・年齢・育った地域の気候・その日の緊張や不安でも変わります。席の空き具合など状況の影響も大きいため、会話の内容や連絡の取り方など、ほかの行動とあわせて見ることが大切です。

距離を取られたら、嫌われているということですか?

そうとは限りません。研究では、女性や年齢の高い人ほど知人との距離を広めに取る傾向が報告されています。不安が強い人ほど、親しい相手と見知らぬ相手で距離を変えにくいという結果もあります。距離の広さは、相手への評価より本人の性質や状態を映していることがあります。

パーソナルスペースとは何ですか?

パーソナルスペースとは、他人に入られると不快に感じる、自分の周りの見えない空間のことです。研究では、脳の扁桃体という部位がこの不快感を生む働きに関わっていると考えられています。

距離を詰めてくる人がしつこくて怖いときは、どうすればいいですか?

「近すぎる」とはっきり伝えてよく、その場を離れることも正当な対応です。断っても接近や待ち伏せが続く場合は、つきまといとして警察相談専用電話 #9110 に相談できます。危険を感じたときは迷わず110番してください。

出典

  1. Sorokowska, A., Sorokowski, P., Hilpert, P., et al. (2017). Preferred Interpersonal Distances: A Global Comparison. Journal of Cross-Cultural Psychology, 48(4), 577-592. https://doi.org/10.1177/0022022117698039
  2. Welsch, R., von Castell, C., Rettenberger, M., Turner, D., Hecht, H., & Fromberger, P. (2020). Sexual attraction modulates interpersonal distance and approach-avoidance movements towards virtual agents in males. PLOS ONE, 15(4), e0231539. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0231539
  3. Haim-Nachum, S., Sopp, M. R., Michael, T., Shamay-Tsoory, S., & Levy-Gigi, E. (2021). No distance is too far between friends: associations of comfortable interpersonal distance with PTSD and anxiety symptoms in Israeli firefighters. European Journal of Psychotraumatology, 12(1), 1899480. https://doi.org/10.1080/20008198.2021.1899480
  4. Kennedy, D. P., Gläscher, J., Tyszka, J. M., & Adolphs, R. (2009). Personal space regulation by the human amygdala. Nature Neuroscience, 12(10), 1226-1227. https://doi.org/10.1038/nn.2381